[Alexandros]の歴史が浮き彫りになった10周年記念ライブ 記憶に刻まれた庄村聡泰ラストのステージ

[Alexandros]、庄村聡泰のラストステージ

 本編中、庄村の登場はなし。一方MCでは、磯部が今日は庄村の誕生日であることに触れ(かつ、庄村がバンド加入を決めた日であることを川上が補足)、「11年間すごい楽しかったし感謝してます。あいつのドラム背負ってベースを弾けたことを。だけどあれだけの人ですから。絶対このままおとなしくしていることはないと思うので、今日はみんなで気持ちよく送り出せたらいいなと思ってます」と言及。白井は「僕はまだそんなに実感湧いてないですけど、どうでしょう。今晩僕の心が動いてしまうかもしれない」と心境を言葉にした。そして川上は「ワタリドリ」の歌詞を「大それた六重奏を」に替える。おそらく、庄村とサポートメンバーも含めた6名でこのライブを作っているという意識からだろう。

 アンコール3曲を終えたところでその時は来た。「目の前に見覚えのあるドラムセットがーー」と花道の先端に視線をやる川上。そこにはシンバルの位置が異様に高い、真っ黄色のドラムセットがあり、庄村が客席の通路から登場した。ステージから歩いてきたメンバーと合流し、1人ずつハグを交わしてからスタンバイ。4人で鳴らす最後の曲に選ばれたのは、1stアルバム『Where's My Potato?』収録曲「Untitled」だった。ドラムの方を何度も振り返りながら演奏する磯部と白井に対し、最後まで振り返らず、庄村に背中を預ける川上。スクリーンには、歌詞を口ずさんだり、穏やかな表情をしたり、唇を噛み締めたりしながら演奏する庄村の表情が大きく映っている。この場に刻みつけるようなビート。うねるベース。想いを乗せたギターソロ。ボーカルの語気は強く、川上のギターもグオンと鳴く。演奏が終わると、肩を組みながら花道をゆっくり歩いていく4人。元来過去を顧みない主義のバンドではあるが、数百メートルのその道を歩いているその時は10年間に想いを馳せたりしたのだろうか。ステージを去るまで庄村が何かを話すことはなかったが、4人の演奏は何よりも雄弁で、言葉など必要のない時間だった。

 庄村が去ったあと、「[Alexandros]はまだまだ続いていきます」(川上)とラストに新曲「閃光」を披露。ギター2本が美しい旋律を紡いでから疾走するイントロは、4人のラストを見届けた私たちの心象風景にあまりにも合っていて、“「閃光」の初披露はあの幕張だった”とこれから何度も思い出しそうな予感がした。シングル『閃光』が5月5日にリリースされるように、そしてエンディング映像内で次のツアーが発表されたように、[Alexandros]は止まらない。今はただ、進化した彼らに出会える未来を楽しみにしていたい。

■セットリスト
『[Alexandros] 10th ANNIVERSARY LIVE at 国立代々木競技場 第一体育館 “Where's My Yoyogi?”』
3月21日(日)@ 千葉・幕張メッセ国際展示場9-11ホール
01 For Freedom
02 She's Very
03 city
04 Rocknrolla!
05 You're So Sweet & I Love You
06 Waitress, Waitress!
07 Kick&Spin
08 Starrrrrrr
09 Droshky!
10 Dracula La
11 Adventure
12 ワタリドリ
13 NEW WALL
14 Feel Like
15 LAST MINUTE
16 Mosquito Bite
17 PARTY IS OVER
-Encore-
01 rooftop
02 Beast
03 風になって
04 Untitled
05 閃光 ※新曲

[Alexandros] 公式サイト

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