チック・コリア、バイラルチャート上位に多数ランクイン ジャズ界を超えて語り継がれる演奏力

チック・コリア『Light as a Feather』

 トップアーティストとしての地位を確立した彼らが、1972年に発売した2nd アルバム『Light as a Feather』に収録されている「Spain」は、チック・コリアの代名詞である。同曲の象徴であるフルートのリズミカルなフレーズを聴けば、誰もが「あの曲か」と思うのではなかろうか。アフロビートやラテンのリズムを基盤に、各メンバーのアドリブを中心に展開されるスリリングなこの曲は、メランコリックで、どこかキュート。そして、この上なくキャッチーである。これまで数え切れないほど多くのアーティストがカバーしてきた。アドリブが多いということは、それだけ自由度が高く、リアレンジしやすいのだろう。その証拠に、ギターや他の楽器をメインに据えたカバーも非常に多いのが、この曲ならではだろう。また、冒頭で述べたバイラルチャート50位以内にランクインした5曲中2曲が「Spain」であることも、同曲が多くの人々に愛されたことを証明している。5位にランクインした「Spain」は、1998年に発売された『Light as a Feather』再発盤に収録されたバージョンだが、本作のボーナスディスクには「Spain」を始め、Return To Foreverの代表曲の別トラックが多数収められている。どのテイクも、ここでは最初に収録されたテイクの個性を大事にしながら、アドリブというスタイルで、チック・コリアが音楽を謳歌している様が脳裏に浮かぶ。

Spain

 音楽史に残る名曲「Spain」は、これからもカバーされ続け、チック・コリアという存在とともに生き続ける。彼がピアノという楽器の可能性を広げたように、今「Spain」を繰り返し聴きながら、これからも音楽の可能性が広がることを信じ、冥福を祈りたいと思う。

■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル(新中野駅から徒歩2分)始めました。
Piccolo 266 インスタグラム(@piccolo266)

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