東京JAZZの歴史と意義を実感 『TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAM』を振り返る

東京JAZZの歴史と意義を実感 『TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAM』を振り返る

 オンライン音楽フェスティバル『TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAM』が5月23日、24日の2日間にわたって行われた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となった『TOKYO JAZZ +plus』に出演予定だったアーティスト、これまで東京JAZZに出演したアーティストなど、総勢30組以上が登場。さらに2002年からスタートした東京JAZZの名演奏が紹介されるなど、国内最大級のジャズフェスの魅力を堪能できる内容となった。

5月23日(土)

 『TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAM』のトップを飾ったのは、日本を代表するジャズピアニスト小曽根真。4月26日から配信ライブ「Welcome to Our Living Room」を続けている小曽根。この日はエリック・ミヤシロとともにオンラインのビッグバンド編成で「No Strings Attached」を演奏し、イベントの開幕を華やかに彩った。

小曽根真 featuring No Name Horses  (c)TOKYO JAZZ FESTIVAL

 さらにチック・コリア「Mirror, Mirror」、渡辺貞夫「花は咲く」とレジェンドの演奏が続いた後、上原ひろみが登場し、最新アルバム『Spectrum』収録曲「カレイドスコープ」を披露。正確なビートを刻む左手、奔放なメロディを描く右手のバランス、音色に込められたニュアンスの表現が素晴らしく、3万人に迫る視聴者からも「1本1本の指に別の人格があるよう」など絶賛コメントが送られた。また、「このような状況になり改めて気づいたことがあります。やっぱり私は生のライブが最高に好きだなということです。今の時代、音楽は配信や動画など、インターネットで簡単に自宅でも楽しめるようになりました。でも私は同じ空間で、人のエネルギーを感じてライブをしたいです」というメッセージも印象的だった。さらに上原は、ジョシュア・レッドマン(Sax)とともに「この素晴らしき世界」を演奏。この日だけの貴重なセッションが実現した。

小曽根真、セレイナ・アン、ハリー杉山  (c)TOKYO JAZZ FESTIVAL

 中盤では、コロナ禍により亡くなった伝説的ジャズミュージシャン、リー・コニッツ、ウォレス・ルーニー、エリス・マルサリスの功績を紹介。ウォレスと交流があった渡辺貞夫からの追悼メッセージ、そして、エリスと親交を結んでいた小曽根による追悼演奏を行い、大きな感動を生み出した。

 ミシェル・カミロのラテンの匂いをたっぷり感じさせるピアノ演奏、H ZETTRIOによる遊び心に溢れたセッションなど、後半も魅力的なシーンが続いた。初日のもっとも大きなハイライトは、ハービー・ハンコックを特集したコーナー。東京JAZZの過去8回の出演(!)のなかから、ロバート・グラスパーとの共演が実現した2018年、レイラ・ハサウェイが参加した2016年のステージなどをハイライトで紹介した後、“挾間美帆 m_unit”によるハービー・ハンコックの名作「Maiden Voyage」のメドレー演奏へ。ストリングス、ホーン、ドラム、ベース、そして、スペシャルゲストのリオーネル・ルエケ(Gt)などによるビッグバンド編成で「Maiden Voyage」「The Eye Of The Hurricane」「Dolphin Dance」の3曲をつなぎ、ジャズ史に名を刻む名作の世界を豊かに表現してみせた。リモート演奏とは思えない完成度の高さ、参加ミュージシャンが画面上で交流する映像も秀逸だった。このアルバムについて挾間は「アルバム一つで大きな物語を描いた、音楽の叙情詩ですね」とコメント。この日のパフォーマンスに関しては、「音、見た目を含めて、ネット上で見せる価値があるのもができたらいいなという気持ちが強かったです」と語った。

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