チック・コリア、バイラルチャート上位に多数ランクイン ジャズ界を超えて語り継がれる演奏力

参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(2月18日公開:2月11日~2月17日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:Matt Cab, MIYACHI「Famima Rap」
2位:Ado「うっせぇわ」
3位:WST「Offshore 〜Cafe Latte Song〜」
4位:Masked Wolf「Astronaut In The Ocean」
5位:チック・コリア「Spain」
6位:チック・コリア「Return To Forever」
7位:Chinozo「グッバイ宣言」
8位:JESSIA「I’m not Pretty」
9位:Who-ya Extended「VIVID VICE」
10位:millennium parade「FAMILIA」

 今回は、先日79歳でこの世を去ったジャズ界を代表する鍵盤奏者、チック・コリアをピックアップする。前述したニュースを受け、今週のバイラルチャート50位以内にChick Corea、またはChick Corea, Return To Forever名義で、合計5曲がランクインしている。

 歴史あるアーティストが亡くなり、その代表曲がランクインしてくる現象は、決して珍しいことではない。しかしながら、この現象は世代を超えた名曲を発見するきっかけにもなっている。私事で恐縮だが、旧知の友人の高校生の息子は、昨年同様の事例でSpotifyのバイラルチャートにランクインしたことでVan Halenを知り、新しい音楽として捉え、その後すぐVan Halenの作品をいろいろ聴いたそうだ。このように、サブスクリプション音楽配信サービスは、直感的にいいと思った音楽を瞬時にディグることができる。音源そのものが、そのアーティストとの最初の出会いになる可能性が非常に大きいのだ。あくまで可能性の話であるが、今後の音楽シーンにおいては無視できない、音楽の届け方の可能性でもある。

 チック・コリアに話を戻そう。彼はアメリカ出身のジャズピアニスト、キーボーディスト、作曲家、ミュージシャンである。チック・コリアと言えば、エレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズ)の第一人者という印象が強いが、彼にエレクトリック・ピアノを薦めたのは、かのマイルス・デイヴィスだった。1970年代に入ると、チック・コリアはジャズバンド Return To Foreverを結成。このバンドは、転がるようなエレクトリック・ピアノを軸にした洗練されたサウンド、ハイレベルな演奏から繰り出されるフリースタイルのセッション、ラテンやボサノヴァなど多国籍な音楽を取り込む柔軟性など、当時の音楽シーンにおいては実にアバンギャルドな存在であった。またReturn To Foreverの出現は、クロスオーバージャズやフュージョンジャズというジャンルを確立する礎にもなった。

チック・コリア「Return To Forever」

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