THE YELLOW MONKEY、コロナ禍で30周年記念ライブを開催した意義 『Live Loud』に刻まれた時代の空気感を読み解く

THE YELLOW MONKEY、コロナ禍で30周年記念ライブを開催した意義 『Live Loud』に刻まれた時代の空気感を読み解く

 2020年11月3日の東京ドームを皮切りに、全4会場で行われたTHE YELLOW MONKEYの単独ライブ『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE』が12月28日の日本武道館公演をもって終了。そこから2週間が経過した今年1月12日、来場者や出演者、関係者、舞台スタッフ、運営スタッフの新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)での陽性者確認、およびクラスター発生などの報告が一切なかったことが確認された。日本武道館公演から1カ月を経過した現在もそういった報告がないことから、今回のライブは無事終了したということになる。

THE YELLOW MONKEY LIVE ALBUM & DOME BOX【TEASER】

 この4公演に向けて、筆者は10月上旬に「THE YELLOW MONKEY、新規4公演ライブは挑戦的なステージに? 各会場に込められたバックストーリーを紐解く」という記事を執筆。11月下旬には、東京ドーム公演と続く11月7日の横浜アリーナ公演に関して、開催までの経緯を含めたレポート記事「THE YELLOW MONKEYがライブを通して繋ぐエンタメの未来 厳戒態勢で行われた東京ドーム&横浜アリーナ公演を見て」も公開されている。それらを踏まえつつ、本稿では『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE』を総括しつつ、2月3日にリリースを控えたライブアルバム『Live Loud』がこのタイミングに制作された意味を考察してみたい。

 まずは『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE』について。筆者は4公演とも会場にてライブを観ることができたが、来場者は事前にアナウンスされたルールに沿って、公演中は大声を上げたり歌ったりすることなく、拍手や手振り身振りでバンドの演奏に対応。そのイレギュラーな事象に対しても、バンドや観客は公演を重ねるごとに自然と馴染んでいる様子を見せ、曲間に歓声を上げられない代わりに拍手をし続けたり、メンバー名をコールする代わりに手拍子で応えたりと要領を得た感も強かった。何よりも、東京ドーム公演ではメンバーから多少の戸惑いも見られたが、最終公演となった日本武道館では「今できる最大限のやり方で、最高のステージを作る」というメンバーの強い意思すら伝わってきた。

 各公演のコンセプトも非常に明確で、それぞれ明確な色分けが施されていた。東京ドーム公演は言わずもがな、昨年4月に予定されていた同会場でのライブの再構築であり、『Sing Loud!』企画を通じて集められた、ライブに直接参加できなかったファンの歌声が流れた「JAM」「バラ色の日々」を筆頭に、この時期ならではの新たな演出も加えられた(この演出は、続く3公演でも引き続き取り入れられた)。

 90年代後半にさまざまな名演を繰り広げてきた横浜アリーナでは、当時を彷彿とさせるセットリストを用意。『SICKS』(1997年)、『PUNCH DRUNKARD』(1998年)、『8』(2000年)といったアルバムからの楽曲を中心に、ライブバンドとしての凄みを見せつけるパフォーマンスで観る者を楽しませてくれた。特に今回の4公演はすべて、WOWOWやストリーミング配信などを通じた生中継も行われたが、画面越しからもその熱量は存分に伝わったことだろう。

横浜アリーナ公演

 3公演目となった12月7日の国立代々木競技場第一体育館では、公演当日が菊地英昭(Gt)の誕生日ということもあり、菊地が作曲に携わったTHE YELLOW MONKEYの楽曲をすべて披露するという粋な計らいを用意。久しく演奏されていなかった初期の楽曲も複数含まれており、その驚きの選曲に歓喜したファンも少なくないはずだ。また、こういった形でメンバーの誕生日を祝福できたのも、(偶然とはいえ)今回改めてライブを設定することができたからこそ。もし昨年4月の東京ドーム公演が予定どおり行われていたら実現しなかった、夢のセットリストを楽しむことができたのも『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE』におけるサプライズのひとつだ。

 そして、最終日の日本武道館公演はバンドの誕生日にあたる12月28日に開催。2018年までは同日、同会場で『メカラ ウロコ』と題した企画ライブで“報われない(初期の)楽曲たち”を披露してきたが、2年ぶりに同会場で行われたバースデーライブは年末らしく、忘年会的な装いのお祭り騒ぎに。初期のアルバムからの楽曲が多数披露されたのに加え、1990年にバンドが初めて制作したデモテープに収録されていた幻の1曲「PENITENT」を約29年ぶりに演奏するという最大のサプライズが用意された。この日のラストナンバーとして演奏されたのは、バンドにとって原点の1曲「WELCOME TO MY DOGHOUSE」。この曲に入る前、吉井和哉(Vo)は「普通の野良犬に戻ります」と口にしたが、これは2001年1月8日に行われたTHE YELLOW MONKEY活動休止前最後のライブ(東京ドームでの『メカラ ウロコ・8』)で同曲を披露する際に発せられたものと同じだが、言葉の持つ意味や重みは当時とはまったく異なるものだった。終わりを感じさせる前回とは異なり、今回は再会が約束された上でのポジティブな発言だったことは、ファンならば誰もが感じたことだろう。

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