THE YELLOW MONKEY、新規4公演ライブは挑戦的なステージに? 各会場に込められたバックストーリーを紐解く

THE YELLOW MONKEY、新規4公演を紐解く

 THE YELLOW MONKEYが『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE』と題した新規4公演を、11月3日から12月28日にかけて実施する。これは昨年12月から今年4月にかけて名古屋、大阪、東京の各ドーム会場にて実施予定だった『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR』が新型コロナウイルスの影響により東京ドーム2公演を残して延期されたことを受け、新たに企画されたもの。この情報が公開された6月30日の時点では有観客ライブは世の中的に現実的なものではなく、公式サイトでも「現時点では0%から100%の間のキャパシティ設定」とアナウンスされていた。しかし、音楽コンサートなどイベントの人数制限が10月上旬の時点で会場収容率50%にまで緩和。これにより、『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE』で予定されている東京ドーム、横浜アリーナ、国立代々木競技場第一体育館、日本武道館でも制限付きで集客することが可能になった。(メイン写真=THE YELLOW MONKEY(京セラドーム大阪 Photo by 横山マサト))

THE YELLOW MONKEY(ナゴヤドーム Photo by 横山マサト)

 いろんな偶然が重なり、THE YELLOW MONKEYとゆかりの深い4会場での有観客公演が間もなく実現することになるが、このライブ開催を目前にYouTubeにてバンドが各会場で初めてライブを行った際の映像が公開された。本稿では各映像を通じて、THE YELLOW MONKEYと東京ドーム、横浜アリーナ、国立代々木競技場第一体育館、日本武道館の関係性について触れていきたい。

▼「バラ色の日々」2001.1.8 東京ドーム

 11月3日に『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE』1公演目を行う東京ドームは、活動休止前にTHE YELLOW MONKEYが最後にライブを行った場所であり、解散発表後の2004年12月26日、『Petticoat Lane PRESENTS THE EXHIBITION AND VIDEO FESTIVAL OF THE YELLO MONKEY メカラ ウロコ・15』にて「JAM」を披露した思い出深い場所でもある。どちらかというと悲しい思い出の多い会場だが、再集結後の2017年12月9日、10日には『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017』を行うことでそういった悲しみを払拭することができたはずだ。

 そんな東京ドーム映像からは、2001年1月8日の『メカラ ウロコ・8』での名曲「バラ色の日々」がアップされている。THE YELLOW MONKEYにとって初の東京ドーム公演であると同時に、活動休止前最後のライブでもあったこの日は、のちの『THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017』と比べると重々しさが感じられ、演奏中に挿入される客席の画像の中には涙を拭うファンの姿も見つけられる。そんな中で、吉井和哉(Vo)は「俺たちがいつか帰ってくるときに、素晴らしい、悔いのない人になっていてほしいな、なんて思います」と非常に前向きな言葉を寄せ、曲中でも〈I WANT POWER〉から始まるラストのフレーズが〈I WANT A FUTURE〉の繰り返しに変えて歌うなど、必死に前を向こうとする姿勢が伺える。

「TVのシンガー」1997.5.8 横浜アリーナ

 横浜アリーナは1997年以降、ツアーを行うたびに毎回訪れている会場のひとつで、「THE YELLOW MONKEYといえば横浜アリーナ」というファンも少なくないのではないだろうか。ここではバンド初のアリーナツアー『ARENA TOUR ’97 “FIX THE SICKS”』 1997年5月7日、8日公演から、8日公演の「TVのシンガー」の映像を選出。ロックバンドとしてもっとも脂が乗ったこの時期に発表された傑作アルバム『SICKS』を携え、全国14会場20公演をまわったこのツアーでは、当時としては異例の巨大スクリーンを導入するなどそれ以前から一気にステップアップしたステージ演出を楽しむことができ、その鬼気迫るライブパフォーマンスはTHE YELLOW MONKEYが問答無用で「日本を代表するライブバンド」であることを証明する結果となった。この「TVのシンガー」では、そんなTHE YELLOW MONKEYの豪快さ、スリリングさを思う存分味わうことがでるはずだ。

「楽園」2016.5.11 国立代々木競技場第一体育館

 意外にも解散前は一度もライブを行ったことがなかった国立代々木競技場第一体育館は、THE YELLOW MONKEYにとって新たな“聖地”と呼べる会場だ。今回YouTubeにて公開された映像はバンド再集結後初のツアーとなった『THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016』から、初日(2016年5月11日)の「楽園」。紗幕が降ろされた中で披露された1曲目「プライマル。」に続いて演奏された楽曲だが、バンドが観客を目の前にして演奏するという意味では、この「楽園」が実質的な1曲目と言える。観客のうれしそうな笑顔はもちろんのこと、若干緊張気味ながらも4人で演奏できる喜びを噛み締めながら歌い演奏するバンドの表情は見逃せないものがある。

「ROCK STAR」1995.4.11 日本武道館

 そして、1995年4月11日の『TOUR ’95 “LOVE COMMUNICATION”』以降、『メカラ ウロコ』を含め幾度となくライブを行ってきたTHE YELLOW MONKEYの“ホーム”である日本武道館。ツアーの一環で訪れることも少なくないが、どちらかといえば先の『メカラ ウロコ』や2019年3月28日の『9th Album『9999』世界最速先行試聴会』など企画ライブの印象が強い会場かもしれない。1万人前後のキャパながらも縦長&円形という会場の作りもあって、どの席からもステージを比較的近くに感じられるのも、バンドとの密接感が強く伝わることに作用しているのだろう。YouTubeにはこの初武道館公演から「ROCK STAR」の映像がアップされている。初めてオリコンチャートTOP10入りを果たした4thアルバム『smile』を携え、満を辞して武道館のステージに立った当時の彼らは、THE YELLOW MONKEYは初期の危うさを残しつつスケール感の大きなロックバンドへと進化していく過程の一端を確認することができる。

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