高校生シンガーソングライター Broken kangarooが突如バイラルチャート首位に 軽やかなロックで聴かせる“細やかな心情描写”

 さて、Broken kangarooである。まだオフィシャルHPすら存在しないアーティストだ。その正体は、高校生のシンガーソングライター・トラックメイカー、竹内はる。中学の時にバンドを結成したが、現在はそのバンド名を引き継ぐ形で、単独で都内を中心に活動を展開している(参照:speranza!)。ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボードなどの楽器すべてを自ら演奏し、DTM宅録で楽曲制作を行っている。注目すべきは、2020年5月以降かなりのハイペースでオリジナル楽曲を各配信サイトにアップしていること。オフィシャルYouTubeチャンネルを見ると、Haru Takeuchi / Daimei Sakaguchi名義を含め、Official Music Video、Lyric Videoが9曲もアップされている。

Broken kangaroo - 水平線(official Lyric Video)
Broken kangaroo - 空(official Music Video)

 今回のバイラルチャートで1位を獲得した「水平線」は、5月18日にリリースされた1stシングル。バンド然としたアレンジが特徴の疾走感溢れるナンバーである。ギターソロも王道よろしくしっかりロックなフレーズを弾いている。随所でオーバーダビングを施しているところもあり、抑揚あるサウンドに仕上がっている。音数も含め濃密な印象だが、ボトムを抑え気味にしたことで、通常のバンドサウンドにはない、大地から少し浮いているような軽やかさがいい味になっている。Official YouTubeチャンネルによれば「空」と同様、「進路に悩む中で、同じような悩みを抱える人たちへの応援歌となれるよう願いを込め作曲」した曲だという。歌詞も“高校時代”を彷彿とさせる言葉が並び、表現もストレートだが、ただ心情を吐露するだけでなく、俯瞰の視点を交えた細やかな情景描写に、本人の感受性の豊かさ、慎重さ、そして思考の深さが垣間見られる。

 最後に余談ですが。個人的には、TikTokにアップされていた“Finger drums”のパフォーマンス動画に非常に興味をそそられた。カッコいい。今後リミックスなども含め、音楽家としての幅広いアプローチに期待したい。

■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル(新中野駅から徒歩2分)始めました。
Piccolo 266 インスタグラム

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