瑛人「香水」、YOASOBI「夜に駆ける」……SNSやサブスクで存在感示すアーティストと楽曲に注目

 サブスクリプションサービスのヒットチャートで、上位に新しくランクインするアーティストや楽曲がここ数カ月で増えてきた。特に瑛人「香水」とYOASOBI「夜に駆ける」の人気は急上昇している。Spotifyのトップ50では長く1位を死守していたOfficial髭男dismの「Pretender」を抜いて、この二組が1位と2位にランクインしているのだ。ネットをきっかけにヒットしメディア出演は少なかったが、YOASOBIは『ZIP!』(日本テレビ系)や『あさイチ』(NHK総合)など情報番組に連日取り上げられるようになり、瑛人は6月5日に放送される『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)へのコメント出演が決まっている。

香水 / 瑛人 (Official Music Video)
瑛人「香水」

 瑛人とYOASOBIには共通点がある。それはCDを1枚もリリースせずにSNSをきっかけにバズった部分だ。主にTikTokで多くのユーザーが弾き語りによるカバーを投稿したことがきっかけにバズった二組。特に瑛人「香水」はSNSに多くのカバー動画が投稿され続けている。FANTASTICS from EXILE TRIBEのメンバーなど人気ミュージシャンもカバーしたこともあり、4月下旬から人気はさらに急上昇した。オリジナルを聴く前にカバーを聴いた人も多いかと思う。楽曲が先行してバズり、結果として作詞作曲した本人もバズるという今までにはないタイプの過程を踏んだヒット曲になった。

瑛人「香水」
YOASOBI「夜に駆ける」 Official Music Video

 YOASOBIも、TikTokやYouTubeなどで多くのカバー動画が自然発生的に投稿されたことでバズり、ヒットに繋がった部分は瑛人と共通している。しかしYOASOBIの場合はバズを大きくするための工夫を行っている。TwitterでYOASOBI公式アカウントとコンポーザーのAyaseはエゴサーチを頻繁に行ない、ユニット名や曲名、メンバー名が含まれたツイートにはいいねを押している。ファンがカバーした動画をインスタライブで紹介もしていた。ファンを大事にし、ファンがカバー動画を投稿するモチベーションを上げているのだ。その結果としてSNSで話題にされることも増え、カバー動画の投稿はさらに増え続けたのだと思う。その結果としてサブスクでのヒットにつながった。今までのヒット曲はテレビなどのメディアで紹介されたことをきっかけにネットで話題になることも多かった。しかしYOASOBIはネットを使ったプロモーション方法によってヒットを生み、メディアが後追いで紹介する形になっている。誰もがSNSを使う時代だからこその、新しいヒットの法則を作った。

YOASOBI「夜に駆ける」

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる