つじあやの、オーディオ配信のみで届けたスタジオライブ 極上の演奏と前向きなメッセージに込められた“温かさ”
本編に戻って後半戦は、名曲「風になる」からスタート。きっと視聴者も自宅で一緒に口ずさんだことだろう。まるで心地よい風がそよぐような爽やかさだ。続いて『つじギフト~10th Anniversary BEST~』に収録された「愛する人へ」は、「コロナのこともあって、会いたい人と会えなかったり......」と、コロナ禍を憂うコメントと共に歌った。そこからは、みんな同じ空で繋がっている、決してひとりではないという温かい気持ちが伝わってきた。6thアルバム『Sweet, Sweet Happy Birthday』収録のリード曲「Sweet Happy Birthday」は、シンプルで温かいメッセージが胸を締め付ける。7thアルバム『虹色の花咲きほこるとき』収録の「花よ花よ」は、ピアノをバックに披露され、しっとりとした中に真っ直ぐ透明感のある歌声が、実に感動的に響いてきた。
そして、最後に8thアルバム『Oh!SHIGOTO Special』収録の「つながるソング ~たつのから石巻へ~」が披露された。スタッフがコーラスで参加し、「ぜひ(ご自宅で)一緒に手拍子しながら聴いてください。離れてるけど各地で頑張ってるみんな。最後はみんなで繋がりましょう」と、つじ。かつて東北の復興を手助けしたこの曲が、今コロナ禍を必死に生き抜く人々を勇気づける。前向きなメッセージと人の温かさは、時代を経ても色褪せることはない。またいつか日本が窮地に立たされた時、再びこの曲が人々を勇気づけてくれるんだろうな。そんなことを考えさせた。
終演後、ずっとミキシング・コンソールを映していたカメラが初めて動くと、調整室のソファに座るつじとメンバーが映し出された。「初めての試みで探り探りでしたが、けっこう自分との戦いで......」と、振り返った彼女。緊張感から解き放たれた様子で、カメラに笑顔で手を振った。
音声のみのオンラインライブという、一風変わった試み。その分音質の良さはずば抜けていて、まるで目の前で演奏してくれているような臨場感だった。細かい音まではっきり聴き取れ、ライブ以上の“ライブ感”が新体験といった感じだ。オンラインライブの魅力である映像を捨て、その代わり音に特化したやり方は“オンライン”であることを、ある意味で逆手に取ったもの。シンガーソングライターとしてのつじあやのが何を本分としているか。それが明確であるからこそ実現できたライブだと言える。
■榑林 史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も
■セットリスト
つじあやの 配信オーディオライブ
『ビクタースタジオから歌をこめて』
M1. クローバー
M2. そばにいるから
M3. 愛しいたからもの
M4. Gift Song
M5. 別れても好きな人(カバー)
M6. 泣き虫レディーバード(未発表曲)
M7. パレード(カバー)
M8. 風になる
M9. 愛する人へ
M10. Sweet Happy Birthday
M11. 花よ花よ
M12. つながるソング ~たつのから石巻へ~
■つじあやの オフィシャルサイト
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