TWICE、ベストアルバム『#TWICE3』日本語バージョンの群を抜いて高いクオリティ 「21:29」筆頭に込められたファンへの思い

 収録曲の中で特に注目したいのは「21:29 -Japanese ver.-」だ。タイトルは歌詞が完成した時間を指し、「2=TWICE」「1=ONCE(TWICEのファン)」「9=メンバーの人数」という意味も込められている。メンバー全員で作詞したこの曲はファンに向けたもので、感謝の気持ちがストレートに伝わってくる美しいバラードだ。日本語詞の内容は原曲とほぼ同じであるものの、修飾語をできるだけ削り、〈君のおかげ〉や〈君がすべて〉といった風に、ひとつひとつの言葉の意味と響きを重視したと思われる表現が目立つ。

「21:29 -Japanese ver.-」

 また、「21:29 -Japanese ver.-」の歌詞にはオリジナルにはないメッセージが含まれているのが興味深い。原曲では「小さいプレゼントだけど受け取ってほしい」とファンに語りかけるが、日本語バージョンでは〈膨らんでいく 思い詰めて〉という言葉も添えている。日本での活動が思うようにできない現在のメンバーたちの心境を反映しているようだ。

 今年の夏に行われたオンラインコンサート『Beyond LIVE - TWICE : World in A Day』でもファンとの交流が印象的であった。全世界から集まったONCEの中からひとりの女性が選ばれ、「一度も公演に行ったことがなかったけど、オンラインのおかげでようやく参加することができて本当に嬉しい」とコメントしたところ、メンバーは大喜び。そのやりとりを通じて、常にファンを最優先にする気遣いを感じ取った人は多いはずだ。

 新型コロナウイルスの影響で今まで当たり前のようにやってきたことができなくなってしまったものの、それゆえにTWICEと日本のファンの絆はさらに強くなった、だからこれからも安心して応援してほしい――。「21:29 -Japanese ver.-」を筆頭に『#TWICE3』の日本語バージョンにはそんな熱いメッセージが込められているような気がしてならない。

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を開始。『ミュージック・マガジン』など専門誌を中心に寄稿。『ジャズ批評』『韓流ぴあ』で連載中。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著も多数あり。

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