imdkmのチャート一刀両断!
TWICE、3枚目のベスト盤が大差でチャート首位に サウンド・歌詞ともに“大人”へモードチェンジしたグループの今
参考:2020年9月28日付週間アルバムランキング(2020年9月14日~2020年9月20日)
9月28日付のオリコン週間アルバムランキング、1位はTWICEの3枚目となるベスト盤『#TWICE3』で、推定売上枚数は109,187枚。2位以下を大きく離しての首位獲得となった。ほか初登場をピックアップすると、2位森口博子『GUNDAM SONG COVERS2』(32,693枚)、4位A.B.C-Z『CONTINUE?』(29,094枚)、7位CHiCO with HoneyWorks『瞬く世界にiを揺らせ』(11,049枚)、8位桜内梨子(逢田梨香子)from Aqours『LoveLive! Sunshine!! Sakurauchi Riko First Solo Concert Album ~Pianoforte Monologue~』(10,361枚)、10位黒澤ルビィ(降幡愛)from Aqours『LoveLive! Sunshine!! Kurosawa Ruby First Solo Concert Album ~RED GEM WINK~』(8,318枚)となった。ガンダムシリーズの企画盤やアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』からのリリースなど世代を越えた人気コンテンツに関する作品が目立った。
さて今回ピックアップするのは首位のTWICE。既発曲の韓国語版と日本語版の双方を収録したベスト盤で、1枚目の『#TWICE』(2017年)からずっとこのフォーマットだ。いわば韓国での活動を日本向けにまとめなおした総集編のような立ち位置にある。今回の『3』では、2019年を境にグループとしてのモードチェンジを果たして以降のTWICEを振り返ることができる(ただし、「The Best Thing I Ever Did」は2018年12月リリースのスペシャルアルバム『The year of "Yes"』から)。
2019年を境にTWICEはサウンド面ではよりハードでダイナミックになり、ラブソングに限らずセルフエンパワメントを訴えるようなメッセージも打ち出すようになった。UKガラージのハネるグルーブを取り入れ、内省と自己肯定のダイナミズムを歌詞に取り入れた「Feel Special」はやはり印象深い。歌割りやメロディから性急さが薄れ、個々のメンバーの歌唱によりフォーカスが当たっているように思う。このあたりは、特にスピーディな展開が印象的な「LIKEY」「What is Love?」などが収録された『#TWICE2』(2019年)と比較するとガラッと変わっているので、続けて聴くと面白い。具体的なテンポの速い遅いとは異なる、ある種の余裕のようなものが感じられるのではないだろうか。デビューすぐからの楽曲が収められた『#TWICE』をいま振り返ると、グループとしての初々しさが(当時の自分の記憶もあいまってか……)滲んでいるようにも思う。
という具合に、ビジュアルも含めてエネルギッシュで快活なイメージから始まり、いわば大人へとモードチェンジしたTWICE。『#TWICE3』にも表題曲が収録された、今年6月リリースのミニアルバム『MORE & MORE』では、ときに驚くほど音数が少ない引き算的なサウンドが印象に残る「OXYGEN」や「MAKE ME GO」といった楽曲の存在もあいまって、もはや「渋い」といったほうがいいのではないかとさえ思う。ラテン調の「FIREWORK」などあまりにも堂に入っている。