Newspeak、コロナ禍を受けて打ち出した「Blinding Lights」にあるステイトメント 合わせて聴きたいプレイリストも公開

Newspeak「Blinding Lights」のステイトメント

 最後に今回の4連続シングル「Pyramid Shakes」、「Another Clone」、「Parachute Flare」、「Blinding Lights」のサウンド面に目を向け、その一括りにはできない多様性とオリジナリティをより楽しめるように、Newspeakの既発曲から筆者なりに10曲をセレクトしてプレイリストにまとめてみた。

 1曲目の「What We Wanted」はファンキーでタイトなダンスナンバーという意味では「Pyramid Shakes」とも重なるデビュー曲。続く「Lake」はトロピカルな香りのするインディーとメインストリームのポップを繋ぐ爽やかな曲なのだが、そこに一見ミスマッチとも思える豪快なパワードラムをハメたところがミソ。Reiが“やめてくれ”とStevenにお願いしつつも結局はそれを活かすことを選んだというエピソードもあるように、それぞれのプレイヤーが同じ意識のもとで曲に寄り添うのではなく、各々の衝動の化学反応を大切にしていることは、Newspeakらしさを象徴する側面のひとつだ。「July」はもう何回繰り返し聴いたかわからない、筆者的2017年のベストソング。ベタにベタを上塗りしたような、とにかくデカくてポップな曲で、スノッブなところがまったくないからこそエモーショナルに振り切ることができる、“人間”としての純度の高さはNewspeakの真骨頂なのではないだろうか。続く「See You Again」も近いベクトルの壮大な曲だ。

 「Changing Shapes」はThe Killersが切り開いたアメリカンインディーの良心を受け継いでいるかのよう。「Let Down」は日本語詞にチャレンジした曲で、どこかブリットポップの香りが漂う。「The Shrinking Habitat」は同タイトルのアルバムでイントロ的な役割を果たす曲で、約2分のなかにポップもオルタナティヴもニューメタルもアンビエント的な柔らかい風景やトリップホップを思わせるビートも詰まっている。それらは意識的なのか無意識下なのか、とにかくリファレンスの幅が広いことも、“Newspeak”以外の何者でもない音楽性を形成する重要な要素だと思う。

 「Shanghai Disco」は、まだ見ぬ上海に馳せる想いを愉快に表現したような楽しいフレーズが飛び出しつつ、めちゃくちゃクールなディスコチューン。Reiが自宅のベッドルームで作ったテイストをそのまま残したという「What’s Left In Your Mind」は、特に前半のレイドバックしたライブ感のあるムードが印象的だ。最後は「Wide Bright Eyes」。BeckやNewspeakが来日公演のオープニングアクトを務めたThe Fratellisらとの仕事で知られる、Tony Hofferがミックスを担当したことで、彼らのエクストリームな魅力が一段上に持ち上がった、とにかく踊れて叫べる曲。しかし、10曲ではとてもじゃないけど足りない。EP『Complexity & Simplicity of Humanity(and That’s Okay)』のリリースやさらなる続報を待ちながら、もうこのプレイリストに触れていただいたあとは、アーティストページに飛んで続いてぜんぶ聴いてください。

「Blinding Lightsと合わせて聴きたいNewspeakの10曲
Newspeak「Blinding Lights」

■リリース情報
「Blinding Lights」
9月16日(水)より配信リリース
配信先はこちら

オフィシャルサイト

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