『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』インタビュー
渡邉理佐が語る、“欅坂46での5年間” 「その瞬間に思った、感じたことに嘘はないと思う」
9月4日、欅坂46にとって初のドキュメンタリー映画『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』が公開された。当初は4月公開だった本作は、新型コロナウイルスの影響により、一時は新たな日程もわからないまま公開延期に。そんな思わぬ苦難を乗り越えて、ついにそのベールが剥がされる。だが、この5カ月の間に起こった出来事によって、本作が持つ意味合いは大きく変わってしまった。欅坂46にとってこの映画は、“初”であり、“最後”のドキュメンタリーなのである。
リアルサウンドでは本作を深く掘り下げるため、常にグループの最前線に立ち、モデルなどの活躍を通して欅坂46の名を広く発信してきた渡邉理佐にインタビューを行った。デビュー当時の映像も収められた本作についてはもちろん、改名発表の瞬間からラストシングルまで、渡邉が見てきた「欅坂46の5年間」を語ってもらった。(編集部)
改名するなんて、それこそ思っていなかった
ーーちょうどグループの結成日(8月21日)に映画を観させていただきました。ショッキングなシーンはありつつも、改めて欅坂46が他とは違う、特別なグループだったことを実感できる作品だと思いました。まずは映画をご覧になっていかがでしたか?
渡邉理佐(以下、渡邉):今まで見せてこなかったような、色々あった中でのライブの舞台裏のインタビューだったり、そういうものも映画で使っていただいていたり、配信ライブの映像も新しく入っているので、過去のライブ映像と比べると全員がすごく成長したような雰囲気だったり、表情もわかりやすく伝えられていたりすると思います。ライブを振り返りながら、メンバーそれぞれが当時感じていたことを話しているので、この5年間がギュッと凝縮されたような映画になっているんじゃないかなと思います。
ーーおっしゃったようにライブ映像がふんだんに収録された作品ですよね。通常アイドルのドキュメンタリー映画だと、ライブ映像はあくまでその当時を説明する要素として扱われることが多いと思います。ですが、映画でのライブ映像を見ていると、欅坂46がライブパフォーマンスを自分たちの武器として、これまで強く打ち出してきたことが改めて伝わってきました。渡邉さんは映画でのライブ映像をどのようにご覧になりました?
渡邉:そうですね。ライブの映像が本当にたくさん使われていて、ライブを振り返る映画にも見えたりするのかなと思います。やっぱり私たちは楽曲を届けることにすごく重きを置いていたと思うので。楽曲だったり、パフォーマンスが好きで応援してくれていたファンの方も結構多いんじゃないかなって。その応援してくださっている方と一緒に、こんなことがあったなって振り返ることもできるし、当時を知らない、新しくファンになってくださった方にとっては、自分が行ったことのないライブの映像を見ることができる、すごく見応えのある映画になっていると思います。
ーーちなみに、映画ではデビューシングル『サイレントマジョリティー』リリース当時のCDショップ巡りの様子など、ファン含めメンバーにとっても懐かしい映像が多く盛り込まれています。デビュー当時というと、渡邉さんは17〜18歳だったと思いますが、その当時の欅坂46、またはご自身を見てどう思いました? おそらく恥ずかしいと感じるシーンもあったと思うんですけど……
渡邉:本当にもう、(デビュー当時の映像を)使われるのが恥ずかしくて(笑)。自分でも見ながらちょっと笑っちゃったりしていたんですけど、今振り返ってみたら、すごく幼いなって。自分自身でも子どもだなって感じるインタビューも入っているんですけど、その当時、その瞬間に思った、感じたことに嘘はないと思うので。でも、5年経った今この瞬間に見て、すごく成長した部分もたくさんあるなと思います。
ーーデビューから5年、流石に今のような未来は想像すらしてなかったですよね。
渡邉:そうですね、全く。改名するなんて、それこそ思っていなかったですし。その当時はメンバーが卒業していくことも、(2期生が)加入することも本当に頭になくて……。1stシングルの頃から21人(デビュー時の1期生の人数)だけでパフォーマンスをして、曲を届けることをずっとこれからも続けていくんだろうなと思っていました。でも、卒業していくことが悪いことでは全くなくて、新しい道を見つけていくことは喜ぶべきことですし、色々考えて選択したことでもあると思うので。それは卒業していったメンバーの気持ちを尊重したいです。今は新2期生も加入して、グループにすごくいい影響や雰囲気を持ってきてくれたなってすごく思うので、結果的にはそういう変化だったりも今このグループにとって必要なことだったんだと、ポジティブに捉えられていることの方が大きいです。だからそういう変化にも、今は感謝したいと思っています。
ーーライブシーンでいうと、やはり平手友梨奈さんが急遽不在となる場面がグループの前に何度も立ち塞がるように出てきます。特に2017年のアリーナツアー(『欅坂46 全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」』)愛知公演でのシーンは、本当にグループの切迫した状況が伝わってきました(この時、愛知公演初日、体調不良のため平手がライブを欠席することが開催当日に発表された)。
平手さんが不在のたび、他のメンバーは「私は(グループで)何ができるんだろう」と、自問自答するような場面も映画の中では出てきたと思います。渡邉さんご自身はグループにとって、自分はどんな存在だと考えますか?
渡邉:2017年当時は、本当に無力なんだなって思ったりもしましたし、何もできない、貢献できないなっていう、結構マイナスな方向に考えることの方が多くて……。いてもいなくても変わらないんじゃないかって思っていました。
ーーそれって、最初は自信がなくて、自分の存在意義もわからないまま、目の前のことをこなしていくだけで精一杯だったからだと思うんです。逆にそんな状況の中で、自分がやっとグループに貢献できたと感じた瞬間はありましたか?
渡邉:2018年の2ndアニバーサリーライブ(『欅坂46 2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』)で、その時は元々平手が不在ということをわかっている上で開催したんですけど、代わりのセンターをどうするかっていう時にそれぞれ他のメンバーが(センターを)任されて。センターを務めることを初めてしたライブだったので、そこで私も「月曜日の朝、スカートを切られた」をセンターでやらせていただいて、そこで考え方も変わりました。もちろん始まる前は本当に不安で押し潰されそうだったんですけど、そのライブを観てくださったファンの方だったりがすごく良かったよって言ってくれたりして、やって良かったなってすごく思いました。その後から徐々に他のメンバーも自信がついたんじゃないかなって思う場面が結構ありました。そのライブでの経験が、後々生きてくる場面がたくさんあったなって感じる瞬間でした。
ーーその2周年ライブでセンターを務めた経験が、今では「私も欅坂の一員としてグループに貢献できた瞬間」として残っているんですね。
渡邉:そうですね。
ーー平手さん以外がセンターを務める話でいうと、例えば小池美波さんが「二人セゾン」のセンターを務めることになった際、TAKAHIRO先生とレッスンしているシーンがとても印象的でした。渡邉さんも実際センターに立って、不安もあるなかで「私にしかできない欅坂46の表現」みたいなものを模索したりはしましたか?
渡邉:楽曲の世界観とか、歌詞の伝えなくちゃいけないものというのは崩したくなかったので。でも、平手がやってくれたものとはまた違う、何かを自分自身で考えながら表現できたらいいという気持ちはありました。全部(平手がセンターの時とは)一緒になったりしないように、っていうことは頭におきながら、結構その時に感じたことを大事にパフォーマンスしてたつもりではいます。