Mrs. GREEN APPLE、「フェーズ1完結」が示すものとは? 音楽雑誌『MUSICA』編集長・有泉智子による寄稿文

Mrs. GREEN APPLE「フェーズ1完結」考察

 実際、筆者が音楽雑誌『MUSICA』で行なった『5』に関するインタビューで大森は、「5周年タイミングで出すベストアルバムの1曲目を、デビュー前夜である2014年に出した自主制作盤の3曲目に収録した『スターダム』から始めること」は3年前からメンバーおよびチームに話していたと語っていたし、彼はこれまでも様々な形で、そうやって最初期から張り巡らせた伏線を回収しながら大きく展開させてきた。活動休止とともに所属事務所からの独立も発表されたが、ベストアルバム『5』の最終曲として収められ、本人達も「フェーズ1のフィナーレ、かつ、フェーズ2に向けてのファンファーレ」として位置づけていた新曲「Theater」には、この5年間を共に歩んできた多くのスタッフ陣がコーラスで参加している。そもそも曲名自体も、フランス語に置き換えれば事務所名と明確にリンクさせているように思える。

 では、その上で彼らが今後向かおうとしている「フェーズ2」とは、一体どんなものなのか。その内容や活動方針に関して、現時点ではバンドから具体的に示されていることは何もないのだけれど、前述のインタビューの際に大森は次のように語っている。

「この5年間は、船を作っていた感覚なんですよ。最初はひとりで作っていた船を4人も一緒に作ってくれることになり、その後チームも大きくなっていく中で、最初浮き輪レベルだったものが小舟になり、大きな船になり、今ようやく凄くいい船になった。次はその完成した船でどんな旅をしてどこまで行くかを決めて、実際に海を渡っていかないといけないタームだなと思ってる」

「このベストアルバムはバンドの長い道のりの中ではAメロ、Bメロみたいなものなのかなと思っていて。だから次はサビが来る。で、そのサビはスーパーグッドメロディでないといけないはずなんですよ。それくらいの気持ちでいますね」

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