majiko、新曲「一応私も泣いた」も披露した無観客ライブをレポート アコースティックで魅せた“赤裸々な感情と歌声の進化”

majiko、新曲披露した無観客ライブをレポート

 驚異の歌声を誇るシンガーソングライター・majikoが、配信限定シングル「一応私も泣いた」を6月24日にリリースした。矛盾した感情を歌いあげ、せつなさを纏った旋律がグルーブするアッパーな1曲だ。コロナ禍という時代背景、メンタルヘルス問題とも重なる、時代とのシンクロ率の高さを感じたナンバーに仕上がっている。

  ストーリーテラー・majikoが想いを込めて高揚感を解き放つ意欲作は、“悲しいのに悲しめない”、“泣いてみたいのに泣けない”、そんな“どうしていいのかわからない”感情と自問自答することで向き合っていく。暗闇のトンネルから一筋の光を求めるかのような、彼女ならではの独創的な言葉遣い、絶妙なるフロウが胸に突き刺さるのだ。

majiko - 一応私も泣いた [MV]

 そんなmajikoが6月28日に、下北沢ERAで『majiko STREAMING ACOUSTIC LIVE -Ochanoma-』と題した無観客でのオンラインライブを行なった。緊急事態宣言後、久しぶりの公演となったのだが、パワフルな歌声とこの日ならではのアレンジで高揚感いっぱいのスペシャルなステージとなった。

  オープニングは「狂おしいほど僕には美しい」。majikoバンドでおなじみのギタリスト、木下哲がアコースティックで参加。フロアが無観客であるがゆえか、少しばかり緊張感が漂うステージ。

 ロックセンスあふれるメロディアスなナンバー「ミミズ」では、狂おしく歌い上げていく展開に耳を奪われる。歌い回しのフロウの凄み、〈不安定な僕は足下おぼつかない〉という中毒性高いフレーズが胸に突き刺さった。ライブ映えするファンクチューン「エスカルゴ」を歌い上げる頃には緊張が解けたのか、本来のmajikoらしさにドライブがかかってきた。

 「ここでギターの哲ちゃんにはお引き取りお願いして(笑)。愛を込めて拍手を! “呑んでもいい!”と(タイムラインに)書き込みがあったのでハイボールを一杯お願いします。一杯ぐらいじゃ酔い潰れないので(笑)、ちゃんとライブはしますよ。では、ここから私の尻拭いをしてくれるのはピアノのよっしー(吉野ユウヤ)。愛を込めた拍手を! (フロアを見渡しながら)スタッフさんとかもっと拍手していいんですよ(笑)。ここで乾杯の音頭の時間としましょう。それでは、乾杯っ!」。相変わらず、歌と喋りのギャップがユニークだ。画面越しの距離感を感じさせない、素敵な空気感を生み出してくれる。

 グルーヴィーなピアノアレンジに乗せて歌われるのは「ノクチルカの夜」。ジャジーな旋律にたゆたうように声が伸びる伸びる。続く、懐かしの選曲だとタイムラインが湧いた「君に最後の口づけを」を言葉のひとつひとつに大切に想いをこめて歌うmajiko。

 ここでNetflixにて配信されたアニメーション『7SEEDS』ED主題歌の「WISH」をプレイ。感情の高まりを、せつなポップなメロディの積み重ねで表現していく。さらに母親からの手紙のような「エミリーと15の約束」へ。本作は、カンザキイオリ作詞作曲によるクセの強いドラマティックナンバーだ。

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