りりあ。「浮気されたけどまだ好きって曲。」赤裸々な感情表現が生む共感 瑛人に続く新たなバイラルヒットシンガーに
そんな彼女の音楽の特徴は、瑛人にも通ずるシンプルな弾き語りであること。フォーキーなサウンドで、歌声と言葉のパンチラインを浮かび上がらせるという点では、まさに「香水」を彷彿とさせる。〈汚れた君は嫌いだ。/君を汚したあいつも嫌いだ。〉〈君にあげた【好き】を返してよ〉と衒いなく想いを吐き出していきながらも、〈いかないで〉と最後に言ってしまうやり切れない感情表現がとてもリアル。〈あたし〉〈あいつ〉〈君〉という人称の使い分けで浮かび上がる人物描写も絶妙だ。「浮気されたけどまだ好きって曲。」の内容について、りりあ。は「本当のことだけど、自分のことではない」とインタビューで語っているが、そうした近しい人に起きた出来事を汲み取り、理解しようと努めて自分なりにアウトプットしていったことで、多くの同世代から共感を得る楽曲になったのかもしれない。
昨今のTikTok経由でのヒット曲増加によって、歌い手やボカロPだけでなく、瑛人やりりあ。のようなオーセンティックなシンガーソングライターが大きな注目を集めている。それらを聴いていると、歌いやすいメロディ、特徴的な声、耳に残る1フレーズというのがバイラルヒットの鍵になるのかもしれない。2020年下半期も、新たなスターの登場に大いに期待できそうだ。