佐藤結衣の「K-POPメンバー図鑑」Vol.12
SUPERNOVAのリーダー ユナクと歌声で魅了するソンジェ Double Aceとしても活躍する“お兄ちゃんズ”の魅力
繊細な心から生まれる光の歌声で魅了するソンジェ
SUPERNOVAのメインボーカルを務めるソンジェの最大の魅力といえば、歌唱力だ。柔らかく心地よい声の質がいいのはもちろんのこと、彼の持ち味は楽曲への解釈の深さにある。
ソロとしても活躍しているソンジェは、3rdソロアルバム『男の花道~SUNGJE’S JAPANESE SONGBOOK~』で「最後の雨」「やっぱ好きやねん」など日本の名曲をカバー。そのレコーディング風景を記録した動画で、カバーアルバムを制作した理由を「幼いころから歌手の夢を見ながら、たくさんのアーティストの曲を聴いて、すごく感動した。僕も誰かのファンだったから。それで僕が自分の曲を歌ったときも誰かに同じように感動を与えたいと思った」と語る。さらに「僕がこの曲を通じて感じたことを自分のこととして解釈して人々に伝えたいと思った。ある意味、借りた感じだね。音楽の力をちょっと借りた。そうやって伝えてみたかった」とも。
なかでも、amazarashiの「ひろ」という楽曲は聴いたときに思わず涙を流したそうで、改めて歌とまっすぐに向き合うソンジェの純粋さを知ることができる。その繊細な心の持ち主ゆえに、ひとりの時間を好んだり、SNSとの距離感に悩んだりと、葛藤の多い日々を過ごしてきた。「ひろ」の歌詞〈どんな暗闇でも照らすような強い言葉〉にちなんで、以前は偉い人だったり成功した誰かの言葉がそうだったが、だんだん聞くことが難しくなっていったという。そして今では、その言葉は誰かではなく「自分が自分にしか言えない言葉」と話す。ありきたりな風景をそのまま受け入れるのではなく、摩擦を生じてでも昇華させる。そうして多くを考えた先に見つけたものを、歌にのせる。だから、ソンジェの歌はまるで流れ星のように、聴く人の心にスッと届くのだろう。
ユナクとソンジェはSUPERNOVAだけでなく、「Double Ace(ダブルエース)」というユニットとしても活動している。「エースになりたい2人」とハニカミながらそのユニット名の由来を語る姿も、実に謙虚な2人らしい。いつも前線に立ってリードしていくユナクと、ユナクが決断に困ったときに「それがいいんだよ」と背中を押し、しっかりと支えてきたソンジェの歩みは決して楽なものではなかったと容易に想像できる。だが、その乗り越えた分だけ、2人のハーモニーを美しく響かせているのかもしれない。慣れ親しんだ「超新星」というグループ名を手放し、自分たちで新たな一歩を踏み出さなければならなかったSUPERNOVA。『ココロタビSUPERNOVA』(TOKYO MX)で2人きりで本音トークを繰り広げた際には、ソンジェが「これから大変だと思うよ。でも僕たちが力を合わせれば何も怖くないし! やる自信もあるし! なんでも!」と断言。この思慮深い2人が切り拓くこれからの道が、花道となるよう願わずにはいられない。