乃木坂46 清宮レイが備える“ヒーロー”の資質 実直な性格に裏打ちされたアイドルとしての成長
そして、特筆したいのが清宮は同期のメンバーにとって“良き理解者”であろうとしていることだ。24枚目シングル『夜明けまで強がらなくてもいい』の選抜発表では、同期の遠藤さくらがセンターに抜擢されたが、その時に寄り添っていたのは清宮だった。
「さくは選抜発表された後で2人きりになった時、急に泣き崩れたんです。私は『どうしたの? 大丈夫だよ』と声をかけながら一緒に泣いて」(『EX大衆』2019年11月号)
『8th YEAR BIRTHDAY LIVE 2020』最終日(2020年2月25日)の舞台裏では、泣いている金川紗耶の側で共感力を発揮している清宮がいた。
「『遥かなるブータン』を披露することになって、前日のリハで私が上手くいかなくて、注意を受けて、頭がごっちゃで泣いてしまった時にれいも一緒に泣いてくれたことが一番の思い出でした」(参照:金川紗耶 公式ブログ)
清宮自身が「4期生全員に言えることですけど、泣いてる子がいたら必ず誰かが寄り添ってくれるんです」(『EX大衆』19年11月号)と語っているが、ドキュメンタリー映画をはじめとした過去の映像などを観ているファンならば、乃木坂46は「誰かが泣いていれば、誰かが寄り添い、その痛みを分かち合ってきた」グルーブだということを知っているはず。清宮のハートには乃木坂46のエッセンスが染み込んでいるのだ。
2020年3月10日に放送された『乃木坂どこへ』では、“良き理解者”の先に踏み出す姿を見せている。フィンランドのスポーツ「モルック」に挑戦するにあたって「気遣い力」を採点していた森田が矢久保美緒に「何をするにも消極的です。ずーっと受け身です」と指摘すると、清宮は一歩前に出て「矢久保が一番気遣いできる子なんです!」と庇った。バラエティ番組のノリとはいえ、間違ったことは正さずにはいられなかったのだろう。
この一連のシーンを観て、筆者は23枚目シングル『Sing Out!』に収録されていた清宮の個人PVのタイトルが「ルーキーヒーローレイ」だったことを思い出した。清宮が乃木坂46の“ヒーロー”になる未来が訪れるかもしれない。
■大貫真之介(おおぬき しんのすけ)
フリーの編集・ライター。アイドルを中心に、サブカルチャー全般を多くの雑誌に寄稿。『EX大衆』、『月刊エンタメ』、『日経エンタテインメント!』、『OVERTURE』などで坂道シリーズの記事を執筆。