ビリー・アイリッシュの音楽の根底に流れるビートルズの遺伝子 エピソードやリリース楽曲から辿る

「私が兄と作り出す音楽を聴けば、The Beatlesからとてつもない影響を受けているのが分かるはず。ちゃんと聴けばね。彼らの歌詞やハーモニーは信じられないくらい心地良くて、耳の保養になるっていうか。小さい頃は合唱団に入っていて、いつもハーモニーに囲まれて育っていたから、どういう音が心地いいのか分かるの」(ビリー・アイリッシュ:MTV PUSH インタビューより)

 コロナウイルス禍が世界を覆う中、レディー・ガガのキュレーションによる特別チャリティ企画『One World: Together at Home』が、4月18日午後8時(アメリカ東部標準時、日本時間4月19日午前10時)にテレビ/ライブストリーミングで放映され、ビリー・アイリッシュやポール・マッカートニー、The Rolling Stonesらが出演した。Global Citizenが主催する、COVID-19連帯対応基金のために行われたこの8時間に及ぶコンサートでは、最終的に1億2790万ドル(約138億円)の寄付金が集まったという。(参照:Twitter

 オンライン出演という形ではあるものの、フェスでの「共演」は初となるポール・マッカートニーとビリー・アイリッシュには浅からぬ縁がある。4月14日、SiriusXMの人気ラジオ番組『ハワード・スターン・ショー』に電話出演したポールは、以前ビリーとFaceTimeで会話をしたことを明かしていたが、それによれば、ポールの娘でありファッションデザイナーのステラ・マッカートニーが、ビリーと彼女の家族と一緒にいたときにポールにFaceTimeで連絡をしてきたという。このエピソードは昨年4月1日、人気番組『エレンの部屋』に出演したビリーの口からも語られており、彼女よりも両親の方が感激して泣いていたエピソードなど、すでに知っている人もいただろう。ちなみに、昨年の『グラストンベリー・フェスティバル』でビリーが来ていた衣装は、ステラがThe Beatlesに着想を得てデザインしたコレクション「All Together Now」のライン。同コレクションには、ビリーもモデルとして出演している。

「ビリー・アイリッシュの作品は明らかに現代的ですが、そこにはThe Beatlesから強い影響を受けたアレンジやハーモニー、曲構造の美しさがあります。また、彼女は決して妥協しないし自分らしくあるべきだという強いメッセージを発信し続けていますが、それはまさにThe Beatlesが行ってきたことでもありました」(ステラ・マッカートニー:i-D

 また、今年2月9日にLAのドルビー・シアターで開催された『第92回アカデミー賞』授賞式では、そのひと月前にグラミー賞で主要4部門を含む5冠を史上最年少で受賞したばかりのビリーが登場し、過去1年間に亡くなった映画関係者を追悼するコーナーにてThe Beatlesの「Yesterday」をカバー。彼女の実の兄であり、共同制作者でもあるフィニアスのピアノをバックにしっとりと歌い上げた。

 ビリー・アイリッシュの音楽について語るとき、The Beatlesの存在を外すわけにはいかない。昨年のコーチェラ・フェスティバル出演で世界中を熱狂させたその半月後、音楽メディア『Noisey』の名物企画に登場した時には「The Beatlesとエルヴィス(・プレスリー)、どちらが好き?」との質問に、「The Beatles!The Beatles!The Beatles!」と即答していた彼女。その1年前には、元俳優である父パトリック・オコネルと、兄フィニアスとともに、ナードウァー(カナダの人気ジャーナリスト)のYouTube番組に出演し、The Beatlesのコレクターグッズをプレゼントされて大喜びしている姿が話題になった。

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