IDOLiSH7 四葉環と逢坂壮五によるMEZZO"は、“なるべくしてなったデュオ”だ 音楽的相性の良さを楽曲から考察

 そこからさらなる飛躍を見せたのが「Dear Butterfly」だ。好きなものを好きだと伝えることの素晴らしさを歌ったこの楽曲で、MEZZO"の世界はその歌詞の通り羽ばたいたと言えるだろう。

 IDOLiSH7に所属しながらグループより先にデビューした2人が、懸命に努力してお互いを理解してきたことは想像に難くない。だからこそ、MEZZO"特有の世界観が構築された面もあるだろう。だがその2人が内ではなく外を向いて、その世界を広げながら影響を与えていくこの曲は、確実に彼らのターニングポイントとなった。

MEZZO”「Forever Note」

 そして大きな驚きをもってリスナーに迎えられた「Forever Note」は、逢坂の音楽への情熱が迸るロックナンバーだ。四葉のエモーショナルなボーカルとフィットしているのはもちろん、逢坂のボーカルがこれまで以上に力強いことに驚いた人もいただろう。これまでとは全く違うジャンルに舵を切ったことで、彼らの音楽性が一方向に限らないということをはっきりと示した楽曲だ。

 まだしっとりとした歌声のMEZZO"の印象が拭えない人も多くいる中、この挑戦に畳み掛けるように「カレイドスコープ」で主演映画『妖万華鏡 空虚咎送り』の主題歌を担当。こちらは映画のトリッキーな世界観を反映した内容の楽曲だが、2人の歌声が違和感な無くロックナンバーに乗ることをあらためて知らしめた。

MEZZO”「カレイドスコープ」

 IDOLiSH7のグループ内ユニットという枠を超え、独自の表現を続けることで、彼らは今以上に“なるべくしてなったデュオ”として認識されるだろう。それは傍目から見るととても運命的だったり、奇跡のように感じられるかもしれない。だがその運命や奇跡は、彼らが音楽とお互いの表現に真摯に向かい合った結果である。

 音楽があるから、相反する強烈な個性でも共存・共鳴することができる。MEZZO"がそれを示し続けてくれることは、音楽ファン、アイドルファンに限らず、多くの人の希望となるだろう。今後も、声の相性やお互いを補い合うといった部分を超えた、彼らにしかできない音楽活動に注目していきたい。

■草野英絵
ライター。アニメ、ゲームなどのエンタメ記事を中心に雑誌・WEBで活動中
Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる