DISH// 北村匠海、「猫」歌唱映像で示したシンガーとしての求心力 俳優業とリンクするボーカル表現

北村匠海、シンガーとしての求心力

 2008年に子役として俳優デビューし、2012年から DISH//のギターボーカルを担当している北村匠海。もともと“ダンスロックバンド”というバンドとアイドルを融合したようなスタイルでデビューしたDISH//だが、近年はメンバーの演奏力も向上し、日本武道館でライブをコンスタントに行なうなど、着実にキャリアを重ねている。

 ただ、バンドとしてテレビに出演する機会はまだ少ないため、実力派としてヒット作に出演する俳優活動に比べると、音楽活動はやや見劣りしてしまう印象もある。しかし、アーティストの一発撮り歌唱映像が投稿されるYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』にて、北村がDISH//の「猫」を披露し大きな話題に。彼のアーティストとしての一面にスポットが当たっている(参考:Little Glee Monster、女王蜂 アヴちゃん、秋山黄色らが繰り広げる音楽との真剣勝負 『THE FIRST TAKE』が伝える歌の力 )。

「猫」DISH// (北村匠海) – 猫 / THE FIRST TAKE

 「猫」は2017年にシングル『僕たちがやりました』のカップリング曲としてあいみょんが作詞作曲した楽曲。動画は4月10日現在で950万回再生を超えている。『THE FIRST TAKE』の投稿動画で2番目に多い再生数になった。一般的には、リード曲に比べて知名度が劣るカップリング曲としては異例の再生数である。動画投稿を伝えた公式Twitterのツイートは2000RTと9000いいねが押され、ファン以外にも広く拡散。多くの人に北村匠海の高い歌唱力を知らしめるきっかけとなった。

 再生数が伸びた理由は話題性だけが理由ではない。聴いた者を一瞬で惹きつける歌声の魅力があったからだ。透き通った声質と伸びやかな歌声。少年のような無垢さを感じるセンチメンタルな響きが胸に染みる。音を外すこともなく、音域も広い。声質だけでなく技術力もある。俳優としての姿しか知らなかった人に、ボーカリストとしてのすごみを伝えた。

 俳優としては憂いを感じる役や、感情をあまり表に出さない大人しい青年の役が多い北村匠海。大きく感情を起伏させる演技ではなく、少しずつ感情を吐露することで想いを表現する演技が特徴だ。2020年1月に公開された『サヨナラまでの30分』では、新田真剣佑とW主演を飾り、劇中バンドECHOLLのボーカリスト役を演じている。北村匠海が演じた窪田颯太は、誰もを魅了する歌声と音楽の才能を持つキャラクター。彼の歌声によってバンドメンバーが少しずつ心が動かされ、バンドとして一つになっていく物語である。つまり物語に説得力を持たせる歌声がなければ映画として成立しない配役を見事に演じきった。

 役柄に入り込み丁寧に表現する演技が、観た者の心を揺さぶり感動させる。そんな俳優としての特徴とリンクするように、歌でも楽曲の世界観に入り込み聞き手の感情を揺さぶってくる。Aメロでは優しく歌い、Bメロで少しずつ思いを乗せていき、サビでは感情を爆発させる。決して叫んで感情的に表現するわけではなく、細かな表現の歌声で惹きつけるーーそれも彼ならではの歌唱と言えるだろう。

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