MACO×藤野良太、ドラマ『僕だけが17歳の世界で』対談 挿入歌「桜の木の下」を通して描いたラブソングと死生観

MACO×藤野良太『ボクセカ』対談

“桜”が表現する生と死

――今回は挿入歌として「桜の木の下」とレミオロメン「3月9日」のカバーをオファーしたわけじゃないですか。それぞれどういったオーダーでオファーしたんですか?

藤野:最初はAbemaTVのドラマだし、何か実験的なことをやってみたいと思っていて。毎話挿入歌を変えようか、というくらいに思っていたんですが、そのなかで候補に上がったのが「3月9日」でした。僕自身、かつての名曲を、若い子に人気のアーティストに歌ってもらうというコンセプトでCMを作ったことがあって、井上苑子ちゃんに槇原敬之さんの「どんなときも」を歌ってもらって、すごく反響があったんです。

【僕だけが17歳の世界で】挿入歌 MACO「3月9日」Music Video <配信中>

ーーあのCM、藤野さんが手掛けていたんですね!

藤野:そうなんです。あと、新たにストーリーを作るときって、主題歌がまだ存在していないので、自分のなかでこれと決めた曲を聴き続けているんです。今回はそれが「3月9日」でした。

――それって、全体がワントーンになるように、あえて1曲を聴き続けてるってことですか。

藤野:まさに。それをMACOさんに頼んでみたら、まさかの即OKもいただけて。

MACO:私も好きな曲だったので嬉しかったです。

藤野:MACOさんを通して、若い子たちにも広がったし、たまたま世の中がこういう状況になって……。「絶対『3月9日』に救われた人、いるよね」と話していました。

MACO:卒業式ができない学生も、聴いて感動してくれたみたいです。

――「桜の木の下」の歌詞を書く上で膨大な資料があったという話ですが、藤野さんからキーになる一言があったりしたんですか?

MACO:キーワードとして「桜の木の下」があって、そこにじゃれ合うシーンや学生であること、人は蘇るというコンセプトを踏まえて歌詞を書きました。 

藤野:そういえば、巡り会えなかった4年前って、何曲か候補があったじゃないですか。でも今回は1曲がドンと送られてきたんですよ。

MACO:そう。全部が一気に降りてきて、これしかないと思って。メロディーもある日、自分の部屋でストンと降ってきたというか。

藤野:メロディと言葉、どっちから降りてきたの?

MACO:言葉ですね。言葉を書いているときに、メロも書いちゃえというところまで進んだんです。自分的に切ないメロが降りてきたと思って、歌詞と一緒にほぼ同時進行で書いていました。

藤野:フレーズは頭から順番に降りてきたの?

MACO:そうです。

藤野:〈生まれ変わってもまた会いたい〉から作ったのかなって思っちゃった。歌は一発目でとったテイクなんだよね?

MACO:そうなんです。本レコーディングで入っちゃうと、ピッチがどうとか、技術面の方に気をとられちゃうんですよ。けど、降りてきた歌詞って1stテイクを超えられないことが多くて。今回も一発目に録音したものが使われました。

――いま、それを聞いてすごく納得しました。MACOさんのこれまでの曲と比べても、この曲って群を抜いてナチュラルに歌っているなと思ったんですよ。

MACO:曲と歌詞が降りてきて、数日経たないうちに入ったプリプロでの歌だったのも大きいのかもしれません。

ーー歌詞の内容や筆圧の濃さも印象的でした。ラブソングでもありつつ、死生観も入っているという意味では『メトロノーム』に収録された「愛してる」に近いものを感じて。

MACO:ああー。その時期は父を亡くして、当時思っていたことと恋愛観がごちゃ混ぜになってた時期の曲だから、そういう価値観が合わさっていたんですよ。たしかに「桜の木の下」は、自分も大事な人を亡くしたことがあるから、芽衣ちゃん側の気持ちに立って書けた曲なのかもしれません。

藤野:ラブソングと死生観って良い表現ですね。たしかに桜は生と死を表現しているし、桜の木には色んな伝承もあったりしますから。実際、今回のストーリーもそのうちのひとつを下敷きにしたところはありますし。

――曲を実際作ってみて、オンエアに乗ってるのを見ると、別の感情が生まれたりもしましたか?

MACO:いち視聴者として、あの場面で自分の曲が流れると、やっぱり「このドラマのために書いた曲だな」とすごく思います。

藤野:でも、7話と8話であの歌は本領を発揮するんです。ドラマでかけている曲って、今はあえて〈桜の木の下で〉というフレーズまで流していないんですよ。なぜかというと、あの2人は桜の木の下で会ってないから。だから、そこがバシッとはまる最終話まで早く見てほしいです。

――最後に、お二人が今後一緒にやっていきたいことは?

藤野:今回は、企画書や作品ありきでやってくださったと思うんですけど、次はMACOさんの曲からドラマを作ってみたい。ミニドラマとかになるのかもしれないけど。

MACO:いいですね! それ、やりましょう! いっぱいメモにストックがありますよ。いろいろな恋愛が(笑)。

藤野:情景が浮かぶ曲がすごくあるから、良いと思うんですよ。ストーリーと曲が本当に出会ったら、ものすごく素敵になるじゃないですか。主題歌や挿入歌というより、そうじゃない作り方がもっとあってもいいのかなと思って。

MACO:新しい! ぜひやりましょう。私は、そうですね……やっぱり、今後の藤野さんが作る作品に、また曲を書き下ろしたいです。今回のように登場人物の設定とか企画書からでもいいんですけど、台本が出来上がってから読み込んて、憑依してしっかり歌詞を書いてみたいと思います。

■リリース情報

MACO「桜の木の下」
配信日:2020年3月27日(金)
リンクはこちらから

MACO「3月9日」
配信日:2020年3月6日(金)
リンクはこちらから

MACO「恋蛍」
配信日:2020年2月14日(金)
リンクはこちらから

■ドラマ情報
『僕だけが17歳の世界で』
放送日程: 毎週木曜夜11時〜(全8話)
放送チャンネル:AbemaSPECIALチャンネル
番組URLはこちらから
番組公式Instagram

脚本:相沢友子
演出:小椋久雄
プロデューサー:藤野良太
制作著作:AbemaTV
キャスト:
佐野勇斗
飯豊まりえ
結木滉星
大友花恋
渡辺佑太朗
浜野謙太
YOSHI
古田愛理
袴田吉彦
石田ひかり

■関連リンク
MACO Official site
YouTube「MACO_CHANNEL」
LINE:@maco_opc
Twitter:@maco_opc
Instagram:@maco___official

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる