MACOが語る、“今だからこそ”楽曲で伝えられる思い「みんなの背中をそっと押せるようになりたい」

MACO「タイムリミット」インタビュー

 MACOが、シングル『タイムリミット』を8月29日にリリースした。SONYMUSIC移籍第1弾となる本楽曲は、これまでのMACOのイメージから一新し、今の社会の風潮やプレッシャーに負けないように、自分らしく生きてほしいという想いを込めた「同じ時代を生きる女性へのラブソング」となっている。

 これまでとは違う新たなテーマに挑み、新章へ踏み出したMACOへ本楽曲の制作についてじっくりと話を聞いた。(編集部)

28歳の自分だからこそ伝えられる内容

ーー6年目最初のリリースとレーベル移籍後初の楽曲が、これまでにないテーマのものだったので驚きました。今回のリリースに際しては“第二章”という言葉が銘打たれていますが、自分のなかでもその意識はありましたか?

MACO:少しありましたね。自分のなかで移籍第一弾はラブソングなのか、しっとり系かミディアム系か……なんて迷っていたんですけど、ソニー(ソニー・ミュージックレコーズ)の新しいチームの方たちと話していく段階で「パンチがあって、同世代の女性のアンセムとなるような楽曲にしたらどうだろう?」という提案があったんです。自分の気持ちとしても、アップテンポな曲でこれまでと違うテーマで歌いたいという気持ちがあって、今回のような初めて女性に向けた新しい形のラブソングになりました。

ーー「パンチがある」というのはこの曲を端的に表すのに的確な言葉ですね。

MACO:歌詞が赤裸々で過激で「いままでのファンの方たちがビックリするんじゃないか?」という声もあったんですけど、私は「今の時代、ここまで振り切ったほうがもっと多くの人に届くんじゃないか」と思って。歌詞も今回は楽曲を手がけてくれた山本(加津彦)さんとコライトして、今までにない言葉たちを引き出してもらいました。私はすぐにこれまでと同じやり方を選びがちなんですけど、スタッフが今までの流れも踏まえた上で、スパイスを与えてくれたから、次に踏み出せたような気がします。

ーーこれまでは作詞家のzoppさんが監修的な立場で関わったことはありましたが、イチから歌詞をコライトするのは初めてですよね。

MACO:そうなんです。山本さんが楽曲と全体のベースを作ってくれて、私が埋まっていない部分を書いたり、いまの自分が思ってることを踏まえて、書いてもらったフレーズをMACOっぽく書き直したりしました。これが1〜2年前ならそこまで共感できる歌詞じゃなかったのかもしれません。

ーーというと?

MACO:28歳の自分だからこそ伝えられる内容だと思いますし、ファンの方もMACOと一緒に歳を重ねて成長していて、相談の内容も好きな人から仕事の話、結婚のこと、とディープな話題になっているタイミングだから書けた歌詞なのかなって。

ーーなるほど。過去のインタビューを見返してみたんですけど、アルバム『交換日記』のインタビューで、「これまでの歌詞ってほぼ実体験だったんですけど、今回は作家さんからもらったインスピレーションを大事にして物語を書いていった感覚」と言っていて。今回も山本さんの歌詞をベースにしたという点では、この感覚の延長線上にあったのかなと。(参照:MACOが語る、全曲新曲アルバムで表現した“新たな自分”「恋愛観も良い意味で大人になった」

MACO:『交換日記』を作り終わってから、周りの人に書いたものを「いいね!」って言ってもらえることが増えてきているので、それは大きいかもしれません。

ーーサラッと聴いた印象だと、女性に向けた曲なのかなと思っていたんですが、聴けば聴くほど男性にも刺さる歌詞だなと感じました。

MACO:曲を聴いた男性からも「刺さる!」ってメッセージがたくさんあって、「ああ、この曲ってそれだけ強いんだ」と改めて確信しましたね。私、歌詞をノートとか机の上とかTwitterとか、どこかに書きたくなる曲がいい曲だと思うんですよ。今回の曲はそういう“書きたくなる曲”になったなって手応えはありました。曲の展開も第二章の新たな道に進むにはふさわしい楽曲だと思っています。「これが歌いたい、これが伝えたい」というものがハッキリしてきたからこそ、歌えるようになったというか。

ーー『交換日記』のときには2stepやシンセポップを取り入れていましたが、今回はフューチャーベースっぽいイントロなどを含め、さらに攻めた楽曲に仕上がっていますね。

MACO:最近の洋楽っぽいけどMACOっぽさもある、というバランスになっていると思います。

ーーA〜Bメロが歌というよりフロウになっていたり、三連符を多用していますよね。MACOさんのHIPHOP好きが曲にハッキリ出ているなと感じました。

MACO:デモを聴いたときに「こうやって歌いたいな」とすぐに画が浮かんで、「任せて!」って感じでノリノリで歌いました(笑)。でも、レコーディング全体としては、結構苦戦したんですよ。

ーーどの辺りが難所だったんですか?

MACO:サビの部分ですね。Bメロの終わりからサビへの高低差がすごくて。ブリッジではそれ以上に落ち着いた感じになるので、表現力がすごく試されている気がしました。

ーー先日のライブでも、低音域の充実を含めた歌声の変化をすごく感じたので、それが存分に活かされている“今だからこそ歌える曲”なのかもしれませんね。

MACO:自分でもそういう実感はありますね。家で歌っているみたいにライブでもリラックスした歌声を出せたら、と思っていたことが出ていますし、昔よりもペース配分はできるようになりました(笑)。あと、レコーディングの時の話だと、山本さんに「今日、どうなるかと思ってた。2行ずつくらい歌う子なのかなと思ってたから、1曲通して歌いこなしていてすごくパワフルで安心した」って褒めてくれたのがすごく思い出に残っています。

ーー曲展開が複雑なのにスッと聞けるのは、そうしてツルッと歌っている部分が大きく作用しているのかもしれないですね。

MACO:歌には精神的な流れがあるんですよ。だから切って歌いたくないというか。本を読むような感じで歌いたいから、レコーディングも1曲丸ごと録るのが当たり前になっているんです。

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