ジェジュン、各曲へのリスペクト感じたカバーライブ Mattも迎えたパフォーマンスを振り返る

ジェジュン、Mattも迎えたカバーライブレポ

ファンとのコミュニケーションを大切にする姿

 小田和正の「言葉にできない」では、ファンによるサビの大合唱にジェジュンは「みんな歌ってくれてありがとう。一緒に歌うと気持ちいいですね」 と、満足げな表情を浮かべていた。

 2回目のMCの際、『第61回 輝く!日本レコード大賞』で『Love Covers』が企画賞を受賞したこと、新曲「Ray of Light」が1月スタートのアニメ『ランウェイで笑って』(MBS・TBSほか)のエンディングテーマに選ばれたこと、11月27日放送の『ベストアーティスト2019』(日本テレビ系)に出演することが立て続けに発表。「昔から日本で曲を聴いてくださった皆さんのおかげ」とファンたちを見回すと、「歌を聞いてくれる人がいないと出せない。みなさんが1位にしてくれたから。またアルバムを、シングルを出せるようになりました」と言うと、「嬉しい知らせがいっぱいあるのは、みんなのおかげだ!」と大きな声で感謝の言葉を述べた。

 MCの最後に、SMAPの「らいおんハート」のコーラスの練習をし、サビを会場全体で歌うことに。生中継を見ているテレビの前のファンにも「一緒に歌いましょう」と促し、全員で合唱したあと、そのまま本編の曲へと入っていった。

 今回のコンサートでは最初のMCでジェジュンが語ったとおり、“ファンとのコミュニケーション”を取る場面が多く見られた。流暢な日本語で話す姿は、数々のバラエティでも披露してきたが、今回のMCでもしっかりと自分の言葉で話していた。ジェジュンはMCで「ファンの方の近くに行きたい」と話していたが、時には2階席と同じくらいの目線まで届きそうな高い場所で歌い、トロッコで途中止まりながらゆっくり会場を回り、どの距離のファン(たとえ、テレビの前でも)へも届くようにコミュニケーションを取る姿からは、彼の“ファンと繋がりたい”という強い思いを感じた。

 バンド紹介を経て始まった自身の楽曲「Good Morning Night」では今までのしっとりしたジェジュンを封印し、ロックな姿を見せた。トロッコで回りながらバズーカ砲でボールやタオルを放ち、飛び跳ねながらファンを煽っていく。ロックなジェジュンも魅力的だ。メインステージに戻ると、「GLAMOROUS SKY」(中島美嘉)を歌い上げた。

 「楽しいですね」とジェジュンの口から素直な思いが漏れる。「楽しいですか?」と聞くと、「楽しい!」というファンからの声に笑顔を浮かべた。MCで無邪気な姿を見せるジェジュンの姿も支持されているのだろう。MCが終わりそうになるたびに、客席から「えーー!」と残念そうな声が漏れるのだ。

「皆さんとは友達みたいな存在です。歳を取っても」

 この言葉にファンに対する思いが込められているような気がした。積極的にコミュニケーションを取ることで、ジェジュンとファンとの間を濃く結びつけているのかもしれない。「一回だけかっこよくさせて。みなさん、今日はほんとにありがとうございました!」と言うと、本編最後の2曲へ突入。「奏」(スキマスイッチ)と「チキンライス」(浜田雅功と槇原敬之)を歌うと、風船が雪のように舞い落ち「チキンライスも好きだけどオムライスすきだー!」というジェジュンの叫びで本編は終了した。

各曲に対して感じるリスペクト

 アンコールではピアノのイントロが流れると、ステージにグランドピアノが。そして演奏する男性にスポットが当たると、そこにはタレントのMattの姿があった。Mattの奏でる美しいピアノ演奏の中、中島みゆきの「化粧」が始まった。

 この日のMCでも度々触れていた“スペシャルゲスト”はMattだった。ピアノを独学で勉強していたというMattの才能に、ジェジュンも驚いたようだ。Mattは「自分に『化粧』という曲でオファーがあった時、このコラボは絶対ない」と思ったという。挨拶をMattに促すと、照れながらも「自分のライブみたい!」と喜ぶ姿に会場の笑いを誘った。「また一緒にやりたい」と約束し、2人は記念撮影の後、ハグをしてMattはステージを去っていった。

 ひとしきり盛り上がったところで次の曲へ。「次の曲は悲しい歌なのに歌えるかな?」とジェジュンが歌い出したのは、度々ステージやテレビで披露をしている尾崎豊の「Forget-me-not」だ。この曲が始まると、ステージの雰囲気は一気に変わる。感情を込めて歌い込む姿は、まさに“入魂”だ。ジェジュンの魂の叫びのようなパフォーマンスが終わると、会場からは大きな拍手に包まれた。

 「カバーのコンサートは一度で終わってしまうのが寂しい」とジェジュン。「ツアーをして」という声に「カバー曲中心のライブはまたやる」と約束した。そして10年間ファンと一緒に歌ってきたという「守ってあげる」を歌いだす。途中、ファン、バンド、そしてストリングスとともに歌う。サビはファンのアカペラで大合唱に。ジェジュンは歌声に包まれる会場を愛おしそうに見つめていた。「みんな今日本当にありがとうね」「今日も気をつけて帰ってね、またね」と、深々とお辞儀するとステージから去った。

 今回のコンサートはカバー曲が中心の特別なステージで、ジェジュンの各曲に対するリスペクトが感じられるパフォーマンスだった。それぞれの歌詞の意味をしっかり理解し、その日本語の一つ一つを大切にしていることが伝わった。ジェジュンのハイトーンボイスに加え、中低音の魅力も十分に感じられた。男性が音域の高い女性歌手の曲を歌うのは難しいはずなのだが、彼はどの曲もしっかり自分のものにしていた。カバー曲の難しさは、原曲の良さを生かしながら自分らしさをだすこと。しかし、ジェジュンはそれをしっかり体現していた。ジェジュンの新たな魅力を感じられるコンサートだった。

■西門香央里
東京在住のフォトライター。K-POP、韓国トレンド、旅行、グルメ、カルチャーなどを中心にWebメディアなどで活動中。年3~4回の渡韓でエネルギーを蓄えている。いつまでも年齢不詳でありたい通年おかっぱの人。座右の銘は「努力は裏切らない」。
寄稿媒体:いまトピ、エキサイト、TABIZINE、SHELBEE…等

■番組情報
『MTV LIVE: J-JUN LIVE 2019 ~Love Covers~11・17 スペシャルバージョン』
12月24日(火)19時~MTVで放送

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