Floating Points、Underworld、畠山地平……小野島大が選ぶエレクトロニックな新譜9選
アンダーワールド(Underworld)は昨年11月から毎週木曜日にWeb上で新曲を映像つきで発表する(つまり毎週新曲のMVを公開する)プロジェクト『DRIFT』をやっていますが、その総まとめとなるCDが『DRIFT Series 1』(Smith Hyde Production/Beatink。現在までに発表されている全曲の音源と映像、さらに未発表曲を加えてCD7枚とブルーレイをセットにしたボックスセットが『Drift Series 1Box Set)』で、そこからさわりだけ抜粋してCD2枚に凝縮したのが『Drift Series 1 - Sampler Edition』(いずれも11月1日発売)。アンダーワールドの集大成であり、新しい境地の開拓であり、かつ隠された一面をすべて明らかにするような楽曲の数々。彼ららしいトランシーなダンストラック、アシッドなテクノ、チルなアンビエントや音響エレクトロニカ風なもの、叙情的なバラード、40分を超える大作など驚くほど多彩です。全体にダークなトーンのミニマルなテクノが多いのは古いファンとして嬉しいところ。
すべての曲と映像は彼らの公式サイトや各ストリーミングサービスで聴けます。(Underworld / Drift 公式サイトはこちら)
FKAツイッグス(FKA twigs)の衝撃的だったデビューアルバム『LP1』から、なんと5年ぶり新作『MAGDALENE』(Young Turks/Beatink 11月8日発売)。「胸が張り裂けるような悲痛」「私が最も醜くて混乱していて壊れてしまっている時に、このアルバムを作った」と彼女自身がコメントするように、かつてなくエモーショナルでディープなフィーリングに満たされた1作。どちらかといえば感情的というよりは理知的でスタイリッシュなアート性が身上のアーティストだけに衝撃的。MVもヤバすぎです。
今月はアンビエントアルバムでいくつか秀作があります。坂本龍一のリミックスで知られるLAのブライアン・アレン・サイモンとシャンタル・チャドウィックによるデュオ、ペトラ(Pétra)の1stアルバム『Aunis』(Injazero Records)。ライヒ的なミニマリズムによるディープなモダンアンビエントです。聴くうちフッと意識が遠ざかる感じの夢幻的なサウンドスケープは、どこまで行っても果てのない深海に潜るような感覚。