1stミニアルバム『GIANTSTAMP』インタビュー
Suspended 4thが語る、バンドの見据えるシーンの広さ「アンダーグラウンドでやるつもりはない」
コミュニケーションの言語が楽器なだけ(Seiya Sawada)
一一あと、ジャムセッションの話が出ましたけど、曲の演奏中であっても、いきなりジャムに変わることがよくありますよね。
Washiyama:そうですね。わりと普通に曲やってると、バンドのテンションがアガんない日があるんですよね。そこでなんかアクセントじゃないけど、自分らを奮い立たせるフレーズか出てくるまでジャムをやるというか。そういう時が一番ゾワッとする。だから、ほんとは別に仲も良くないし一一。一一ははは。そうなの?
Sawada:まぁ一緒に遊びに行くような仲ではないよね。
Washiyama:楽屋とかでもあんま喋んないし、始まる15分前までみんなバラバラに行動してたりするし。だから、その瞬間に「俺らじゃないとダメ!」っていう瞬間を作れないと盛り上がらないというか。
Sawada:だいたいジャムを仕掛けてくるのはこいつ(Dennis)っすね。
Washiyama:嫌な奴(笑)。でもそういう奴がいるから成り立ってるし、いい奴ばっかりいても面白くならない。
Dennis:仕掛けてみて、みんなが困ってるところから楽しいし。困った先にまたやり返してこられたらもっと楽しくなる。
Washiyama:いい奴(Fukuda)がいるんでね、彼を前に出しとして「あいつにパスしたら絶対ゴール決めてくれるから」みたいな感じで、3人で後ろでいろいろ遊んで。で、最後に「ここでスラップ(ベース)派手に決めてくれ!」みたいな。そうやってSuspended 4thの個性を出し切ったうえで、また楽曲に戻っていくと「やっぱいいな」「この4人でやれてんね」って思えたりするから。
一一ジャムって、けっこうな技術が必要になると思うんです。「超絶技巧派集団」なんて呼ばれたらどう思います?
Sawada:あんまりしっくり来ないですね。なんか、コミュニケーションの言語がたまたま楽器なだけで、喋ってるのと一緒なんですよね。「いや俺こっち行きたいわー」「そっちかぁ」って。
Washiyama:もちろん超絶技巧派でジャムやってる人たちも世界にはいるけど、そいつらのジャムとか見ても全然わかんない(笑)。早口でめっちゃ難しいこと言ってるぞ、みたいな。
Sawada:なんか学者たちがディスカッションしてる感じ。
Dennis:「それは○○的見解ですか?」みたいな(笑)。
Washiyama:そんな会話だよね。俺らは「どこでラーメン食う?」「あのラーメン屋でいいんじゃね?」「食った後どこで飲む?」みたいな。そこが技巧派か技巧派じゃないかっていう違い(笑)。けっこうイージーな感じでやってますね。
一一そうやって形のない面白さを求める反面、作品を聴くと、歌ものとしての側面もあるのが面白いです。「ヨンヨンゼロ」とか「think」とか。
Dennis:「ヨンヨンゼロ」は、僕がドラムでWashiyamaさんがベース弾いてる別のインストバンドがあって。そこのギターの2人に今年子供が生まれて。それに向けて書いた曲。
一一この曲の〈新しい玉座に座るの誰〉っていう歌詞は、サスフォーがそれを狙っている、という意味なのかと思いました。
Dennis:そこは関係なくて。その生まれた子供たちが、玉座に座ってくれたらいいなって気持ちですね。
Washiyama:でもやっぱ、バンドドリームみたいなものに憧れてる部分はあるんですよね。ジャムやるのが面白い反面、売れたい、っていう部分は絶対あるんですよ。俺らは尖ってますけど、アンダーグラウンドでやるつもりはないし、オーバーグラウンドでいろんな人たちに聴いてもらって、やっぱり共感してもらいたいっていうのが第一にあるんで。ライブはもっと別物で、全然CD通りにはやらないし、どんどんジャムをするんですけど。でもCDはCDで作品なので。
一一基本的に歌はポップですもんね。「ストラトキャスター・シーサイド」もそう。
Washiyama:そうそう。基本こういうバンドってアングラになりがち、オーバーグラウンドで戦ってる奴らを馬鹿にしがちなんですけど。俺らは全然そんなことないっす。
Sawada:みんな、何かしらのアーティストに憧れてバンド始めたわけだし。そこに対するリスペクトは今もあるんで。
Washiyama:……ちょっと斜めからね。「なんでこいつらジャムしないのに、こんなに楽しそうに演奏できてるんだろう?」って思いながら(笑)。まぁでも、それができることが本当に凄いと思う。偏見は何もなくて。
Dennis:圧倒的完成度があるアーティストとか、普通に憧れますもん。
一一そういう考え方自体が新鮮です。ジャムとか即興って、東京だと新宿Pit Innみたいな専門のハコがあって、その道のプロが毎回とんでもない音を鳴らしてる。ファンは喜んで見るけど、でもその世界が一気にオーバーグラウンドに広まるとか、そういうことにはならないから。
Washiyama:そうっすよね。それやってもいいクルマ買えないじゃないですか。
一一おぉ。いいクルマ、乗りたいですか。
Washiyama:いいクルマ乗りてぇっす! いいクルマ、乗りたいよな?
Sawada&Fukuda:乗りたい。
Dennis:ジャムやるだけでポップじゃなかったら、家も1軒しか住めないし。
Sawada:難しいことばっかりやって「これお前らわかんないだろう?」って高飛車になってるほうがダサいと思いますね。
Washiyama:そういうジャムのシーンの人たちが中堅にいて、なんか下から出てくるアーティストを叩いてる感じ、めちゃめちゃ気に入らないんで。「関係ないじゃん?」っいうのでやってるから。
Fukuda:「どけよ」みたいなね。
一一そういう考えだからこそPIZZA OF DEATHと組むんでしょうね。サウンドだけ聴いたら、まず「なんで?」って思うから。
Sawada:僕らも「なんで?」って思いました(笑)。「いいの?」みたいな。
Washiyama:でもこのマインドが一致してると思うんで。そういう意味でもPIZZA OF DEATH以外は全然。いろいろ(レーベル契約の話を)もらったんですけど、全然しっくりこなくて。
一一決め手は何でしたか。
Washiyama:一回、ピザの人とサシで喋って、サタニック(SATANIC CARNIVAL)のイベントをどうやって作ってるか話を聞いたんですね。もうめちゃめちゃD.I.Yで。イベンターみたいなのも特にいなくて、ピザだけで回してるって言われて。自分らも去年の夏に『Street Musician Summit』っていう路上でフェスみたいなイベントを完全に自分たちでやったし、その苦しさも知ってるから。やっぱり学校の文化祭とは違うじゃないですか。個人個人が輝いて、ちゃんと商業的にも成り立つイベントをD.I.Yで作ってるって聞いて、この人たちとだったら話は合うなと思ったんですよね。レーベルやってる人でも、そんな経験してる人間のほうが少ないと思うんで。そういう人たちだったらやりたいなと。
一一もしその話がなかったら、未だに路上でやってましたか。
Washiyama:やってたし、実は自分らでも回せちゃってたから。路上ライブのチップとかでレコーディングも自分らでやれたし、MVも作れたし。自分らのマネージメントもできてたから。別に(レーベルが)なくてもできる状況で。改めて事務所の人と手を組を組むなら、モチベーションが合致してないとやる意味ないなと思ってましたね。
一一今の時代、やり方はいくらでもありますもんね。
Washiyama:そう。だからそこが決め手。そういう熱意のある人と出会えてなかったら、今ここにいないと思います。
(取材・文=石井恵梨子/写真=林直幸)
■リリース情報
『GIANTSTAMP』
発売:2019年7月24日(水)
価格:¥1,800(税抜)
1. 〒460-0008
2. GIANTSTAMP
3. 97.9hz
4. ストラトキャスター・シーサイド
5. Vanessa
6. ヨンヨンゼロ
7. kniht
8. think
■ライブ情報
『GIANTSTAMP TOUR 2019』
9月19日(木)大阪 Live House Pangea
w/ w.o.d
9月20日(金)名古屋 CLUB ROCK'N'ROLL
w/ w.o.d
9月27日(金)東京 TSUTAYA O-Crest
w/ 後日発表
【東京公演チケットinfo】
受付期間:7月5日(金) 21:00 〜 7月10日(水) 23:59
入金期間:7月12日(金) 13:00 ~ 7月14日(日) 21:00
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