THE FOREVER YOUNGの歌は“俺の歌”であり“私の歌”である ライブに感じた説得力

エバヤン『ミッドナイトライナー』レコ発レポ

 このように、彼らがステージに上がるとスイッチが入るバンドであることは間違いないのだが、それでいて、オーディエンスと同じ目線でい続けているところが、また貴重であり素晴らしい。その象徴として、彼らのライブでは、ステージにオーディエンスが上がってくるのだ。この日は3曲目の「I WANNA BE SHINE」から、ダイブに留まらず、オーディエンスがステージに上がり、踊り、マイクで歌うという、自由過ぎる展開に。こちらはついつい、機材のトラブルなどを心配してしまうのだが、バンド自身は慣れたもの。オガワリョウタ(Dr)は立ってドラムを叩いたり、タカノジュンスケ(Gt)は弾かずに叫んだり、その時々で、臨機応変に感情を表現していた。

 またオーディエンスも、みんながみんなダイブするキッズというわけではなく、後ろの方で涙しているスーツ姿の男性や、温かいまなざしで口ずさんでいる女性など、様々なタイプの人がいた。年齢や性別や楽しみ方が違っても、バンドの「青春を終わらせない」というメッセージに共感する人が、こんなにもたくさんいるんだということがわかって、グッときた。

 迫力あるパフォーマンスから一転、MCになると「疲れてない?」と優しい素顔を見せるクニタケが、「絶望を消してやるけん」と久留米訛りで呼びかけて始まったのは「ミッドナイトライナー」。クニタケは歌わず、メンバーとオーディエンスのシンガロングのみが響き渡る一幕も。一人ひとりが「俺の歌」「私の歌」と思って歌っていることが伝わってきた。そして本編は、カオティックな中にも笑顔が溢れた「チュウベイビー」で締め括られた。

 しかし、まだまだ帰りたくないオーディエンスの声に応えて、バンドは再登場。そしてクニタケが「俺ら、9月11日にアルバムを出します!」と宣言すると、大歓声が! そこからのアンコールとなり、オガワの頭に巻いたタオルがずれ落ちてきたところを、locofrankのTatsuya(Dr/Cho)が直してあげたり、クニタケがベースをリョウに託して客席にダイブしたりといった名場面を見せつつ、バンドはステージを降りた。

 それでも、なおフロアから熱狂的な声が沸き上がり、ダブルアンコールへ突入! 最後は、locofrankの木下、Tatsuya、森勇介(Gt/Cho)、そしてOATの菊池信也(Vo/Gt)が楽器を鳴らすという粋な計らいで、THE FOREVER YOUNG全員が客席へダイブ! 木下が「THE FOREVER YOUNGに拍手を!」と呼びかけると、会場は万雷の拍手で埋め尽くされた。

 これから、もっとたくさんの人が、THE FOREVER YOUNGの歌を「俺の歌」「私の歌」と思うようになっていくに違いない。そう確信させられる、可能性に満ちたライブだった。

(写真=浅井 千賀子)

■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。

THE FOREVER YOUNG オフィシャルサイト

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