Perfume、中田ヤスタカ楽曲やダンスはどう変化した? ベスト盤リリース発表を機に紐解く
Perfumeが、9月18日に初のベストアルバム『Perfume The Best "P Cubed"』を発売する。先鋭的なサウンドかつポップスとしても万人に愛される楽曲陣や、最新のテクノロジーを用いたパフォーマンス、そして年齢を重ねるにつれて魅力が増していく彼女たちの存在そのものーーPerfumeは、見る人の予想を超えた楽曲やパフォーマンスを披露し続け、国内外問わず注目を集めてきたグループだ。また、そんな彼女たちのベストアルバムリリースは、グループが新たなステップへ進むための区切りとなるのではないだろうか。そこで本稿では、ベストアルバムリリース発表を機に、Perfumeのデビューから現在に至るまでの楽曲およびパフォーマンスの変化に迫るべく、音楽ブロガー・レジー氏に話を聞いた。
「エレクトロポップスを基盤としたダンスミュージックという大枠は、Perfumeのメジャーデビューから直近に至るまで変わっていない部分です。そのうえで、ライブ会場が大きくなり、テクノロジーと組み合わせた豪華な演出が施されるようになったことで、演出に負けないような強度が楽曲にも求められてきたという流れがあると思います。
「If you wanna」以降からは、フューチャーベースを取り入れるなどリズムの多様化が目立つようになりました。こうしたチャレンジングな楽曲を、シングルとしてリリースするようになったことも印象的です。それは、キャリアを積んでグループの知名度がかなり高くなってきたなかで、“リスナーをもう一度驚かせたい”、“Perfumeに対していい違和感を持ってもらいたい”という思いもあったのではないでしょうか。そうした思いを具現化するべく、海外の音楽シーンともシンクロした楽曲を意識的に作っているように思います。「If you wanna」の前年にリリースされたアルバム『COSMIC EXPLORER』は海外でも評価が高いですし、グループの金字塔的アルバムでした。その後の新境地として、昨今はエッジが効いた楽曲をシングルでも聴かせることが増えているのでしょう」
サウンドの基盤はそのままに、グループの活動の方向性やキャリアに併せて海外の音楽シーンを見据えた楽曲を作るようになったという。また、歌詞においてはPerfumeに向けられたメッセージも含まれていると同氏は語る。
「Perfume楽曲のほとんどの歌詞を手がけている中田ヤスタカさんは、その都度で彼女たちへのメッセージを歌詞に綴っていました。例えば、初の武道館公演を行うタイミングで作られた「Dream Fighter」には〈最高を求めて 終わりのない旅をする〉というフレーズがあります。リリースされてから10年以上経ちますが、このフレーズは今に続くPerfumeのステートメントとしても機能しています。また、「TOKYO GIRL」は、ドラマのタイアップに合わせたと同時に、大人になった彼女たちへのメッセージが馳せられているようにも思えます」
また、Perfumeは楽曲も然ることながら、ライブでのステージングも話題となっているグループだ。しかもその注目度は年々高まっている。派手なテクノロジー演出はもちろんのこと、昨今の彼女たちの立ち居振る舞いや振付にもその理由があるように思える。そんなPerfumeのパフォーマンスについて同氏はこのように述べた。
「最新テクノロジーを施した演出は、彼女たちのパフォーマンスが少しでもずれると成立しないといわれています。そのため、ライブ全体が進化していくことに比例してパフォーマンスの精度も高まっていきました。
振付の内容も、可愛らしさが際立つダンスからしなやかで艶のあるものへと変化しているのが印象的です。「無限未来」のサビに導入されている曲線的な動きは今のPerfumeの方向性をわかりやすく示していると思います。また、Perfumeの振付を務めるMIKIKOさんも「年相応がすてきで肯定したいことだというメッセージは、Perfumeのパフォーマンスを通して、伝えていきたいことの一つ」(『装苑』2016年5月号)と明言しています。“年相応の女性の美しさ”というメッセージは、ダンスを筆頭にプロジェクト全体で意識的に伝えているのではないでしょうか」