Jay Park、Beenzino、DEAN……韓国ヒップホップ/R&Bビッグネームが続々発表した新作5選
DEAN 「Howlin’ 404」
ワールドワイドに活躍するDEANが今年に入って初めて出したシングル「Howlin’ 404」は、様々なジャンルを融合したオルタナティブR&Bだ。このところアコースティック路線が続いていたが、本トラックでは映画音楽さながらの雄大なサウンドで久々にDEANらしい華やかさを見せた。また「Howlin’ 404」は5月にソウルで開催された『Seoul Jazz Festival 2019』のステージで先行披露され、同時にApple MusicのYouTubeアカウントでミー文字(※iPhoneのアニメーション顔文字)の映像が公開された(参考:DEAN + iPhone XS의 미모티콘 — Apple)。英作家ジョージ・オーウェルの著書『1984年』から100年後の未来をイメージして作られたDEANの作品群『130 mood』に入る予定のこの曲は、未来的かつ機械的なサウンドで汚染された世界を表現し、そこからDEANが見つめる未来の輪郭を描いているという。音楽的な完成度はもちろんのこと、ストーリー性もオリジナリティに溢れていて、次のアルバムへの期待がますます高まる。
GRAY「TMI」
順調に全米進出を進めるJay ParkがCEOを務める人気レーベル<AOMG>。その看板アーティストして活躍中なのがGRAYだ。本業はプロデューサーでありながら、パフォーマー以上にスタークラスの人気を誇る(Instagramのフォロワーは230万人)。レーベル内外問わず数え切れないほどのアーティストにトラックを提供し、自身も特有の甘いボーカルでたびたび楽曲に参加する。その上イケメンなのだから向かうところ敵なしだ。そんなGRAYがプロデュース業で忙しい中、実に3年ぶりとなるソロ名義の新曲「TMI」をリリースした。TMIとは韓国の流行語で「Too Much Information(多すぎる情報)」の略。歌詞では自分の休日の過ごし方や好きな食べ物などについて語り、〈俺のTMIを聞いてくれてありがとう〉と締めくくる。ひたすら〈TMI〉とリピートするサビもそうだが、シンプルなコード進行と楽器構成、温かさと切なさが溶け合ったサウンドからは欧州系ポップスの香りが漂う。
Jay Park「Ben Baller」(Feat. UNEDUCATED KID, Ghoulavelii & BRADYSTREET))
最後に<AOMG>のCEOを務めるJay Parkの新曲「Ben Baller」を紹介したい。韓米の新鋭アーティスト3名をフィーチャーしたこの曲をはじめ、ニューアルバム『The Road Less Traveled』にはJay Electronica、Higher Brothersなどを含む総勢35組ものインターナショナルなアーティストが参加。まさにワールドスターJay Parkならではのラインナップだ。多作家で有名な彼も、ここ2年ほどはアメリカ進出に力を注いでいたため、フルアルバムのリリースは3年ぶりとなった。前述で紹介した曲名の「Ben Baller」とは、ジャスティン・ビーバーなど世界的セレブを顧客に持つジュエリーデザイナーのこと。彼は元々音楽業界出身で、Dr. Dreの元でプロデューサーをしていた。韓国系アメリカ人という共通のルーツを持つJay Parkとは付き合いが深いようで、Ben Ballerが出演したMVでも二人は息の合った様子を見せている。数年以内に引退することを表明したJay Parkは、本人が「最初で最後」と話すワールドツアーを9月からスタートさせる。東京と大阪にも来日する予定なので、気になる人はチェックしてほしい。
■鳥居咲子
韓国ヒップホップ・キュレーター。ライブ主催、記事執筆、メディア出演、楽曲リリースのコーディネートなど韓国ヒップホップにおいて多方面に活躍中。著書に『ヒップホップコリア』。 運営サイト「BLOOMINT MUSIC」/ Twitter