欅坂46は大人へと成長を遂げた デビュー4年目に突入した今変化する「サイマジョ」の意味
欅坂の面白いところの一つは、表題曲の歌詞にある。8thシングル『黒い羊』まで、歌詞から主人公の成長記が楽しめるのだ。その主人公には、平手を重ね合わせたり、欅坂全体の今を反映させたりするリスナーも少なくないはず。社会の中でどう折り合いをつけていくか、自分がどう生きるべきかを問いただすような、決して綺麗事ではない内容の歌詞となっている。それはつまり、かつて抵抗していた大人へとなっていく姿が映し出されているとも言えるのだ。実際に欅坂は、平手の一時休業や卒業ラッシュなど、紆余曲折あった現実を受け入れながら、新メンバーとして二期生を迎えた。そして今、以前とは違う姿で『欅坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』(以下、アニラ)を成功させた。気がつくと一期生は最年少の平手が18歳という選挙権のある年齢にまで達し、ほとんどのメンバーが20歳を超える大人へと成長している。
そんな彼女たちが今回改めて「サイレントマジョリティー」を歌う意味。それは今の欅坂だからこそ、楽曲の世界観がもう一段階深まったということ。一見、若者の心の叫びのような楽曲だが、よく聴くと秋元康をはじめ大人たちから少年少女たちへのアドバイスという意味合いも強い。たとえば、〈君は君らしく 生きていく自由があるんだ〉などという歌詞だ。その言葉が、実際に社会の荒波を経験し、大人になった彼女たちが歌うからこそ、リアルなメッセージへと生まれ変わったと思う。ファンにとっても欅坂の軌跡がフラッシュバックするような感慨深い曲へと成長しているはずだ。
先日、集大成とも言える日本武道館での3rdアニラを終えたばかりの欅坂。このタイミングで、一回り大きくなった二期生を加えて、デビュー曲「サイレントマジョリティー」を披露するのは、新生欅坂のスタートを意味する原点回帰とも考えられる。今夏の欅坂は『欅共和国2019』をはじめ、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』『夏の全国アリーナツアー2019』などイベントが目白押し。そのスタートとなる『テレ東音楽祭』はこれからの欅坂の指標を示す必見のパフォーマンスとなることだろう。
(文=本 手)