柿崎芽実は日向坂46のヒロイン? 長濱ねるとのWセンターから“初代ぶりっ子王”獲得までを振り返る

 そんなグループへの愛が強い柿崎だからこそ、『ひらがな全国ツアー2017』ラスト公演を前に、骨折でライブを欠席せざるを得なくなった際には、ブログで「皆さんに約束します。私は絶対強くなって戻ってきます。皆さんに勇気を与えられる存在になります」と気持ちを切り替えた前向きな言葉を綴っていた。同公演の最後には、左腕を吊った状態で柿崎がサプライズ登場。「W-KEYAKIZAKAの詩」に参加し、涙した姿からは、グループへの思いと責任感が充分に伝わってきた。だからこそ、日向坂46への改名が発表された時には、みんなが喜ぶ中、一人だけ呆然とし、涙をこらえながら、「3年間活動してきたけやき坂という存在がなくなってしまうことが悲しいと感じたんです」と口にしたのだろう。その思いは、柿崎の実績から当然だったと言える。

 二期生が本格的にグループに参加した頃から柿崎は、どこか一歩引いて支える側に回った印象だ。2018年にリリースしたひらがなけやき単独アルバム『走り出す瞬間』では、センターのラインから外れ、彼女のモチベーションが少し心配された。そんな時、舞台『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』の主役に抜擢。舞台女優という新たな才能を開花させたことは、柿崎を大きく成長させた。この頃「私はやりたいことが全然なかったから、ずっと何が出来るんだろうと思っていた」という柿崎が、「芝居がすごく好きだなと思えたので、これからはもっと色々なことが出来たらいいなって思いました」(『MARQUEE』Vol.129)と明かしたように、“自分に何ができるか”という視野が広がったように思う。

 そして『ひらがな推し』(テレビ東京)では、ぶりっ子キャラが覚醒。元々、猫のニャンニャンポーズやウインクを得意としていたが、「ぶりっ子」と言われるのが嫌で泣いていたこともあった柿崎が、“初代ぶりっ子王”に君臨した。今や、ライバル宮田愛萌とのコンビ芸として成立している。そのやり切る姿にアイドルとしての成長を感じさせた。バラエティでも貴重な戦力として存在感を示し、新たな立ち位置を獲得した柿崎。以前よく彼女は、センターについて、グループ全体のことを考える“周りを見る力”と答えていた。冠番組が始まり、積極的に前に出て笑いをとるメンバーが多い中、柿崎が後ろに控えている安心感は、まさにそれを思い出させる。バランスよく活躍することでグループを支えながら、いつでもセンターを狙える頼もしさと緊張感を持つ柿崎の歩みは、実にドラマチックだ。“日向坂のヒロイン”という言葉がしっくりくるように思う。しっかり休んで、またあの笑顔を見せてほしい。

(文=本 手)

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