けやき坂46=日向坂46への改名がシーンに与えた影響 複雑化するアイドルグループの仕組み

アイドルのアンダー、研修生……何が違う?

 しかし、かみやどは呼び方こそけやき坂46と瓜二つであるが、神宿のアンダーグループではなく、研修生として扱うとしている。現在活動している女性アイドルグループを対象に調べてみたところ、そもそもアンダーという呼び名で活動しているのは、乃木坂46アンダー、ラストアイドル2期生アンダー、AKB48アンダーガールズ(選抜総選挙17位~32位までのユニット)といった秋元康プロデュースのグループに限られる。坂道シリーズで唯一、選抜とアンダーという分け方がされている乃木坂46。彼女たちもまたアンダーメンバーとして、ガラガラの会場を経験しながら、今では選抜メンバーにバトンを繋ぐ存在にまで成長している。先日、横浜アリーナで開催されたアンダーライブをもってラストライブとなった伊藤かりんは、大好きだったアンダーライブへの思いをスピーチする一方で、「選抜だけにこだわらないという姿勢でやってきたけど、確かに選抜に入ることができていたら、世界は広がって、まだ知らない素敵な未来があったかもしれません」とも吐露していた。乃木坂46アンダーの場合、一人ひとりのメンバーが選抜に移動する可能性を秘めており、その点ではグループ全体のけやき坂46とは若干考え方は変わってくる。

 そのほか、アンダーグループに近い概念としては、姉妹グループ、研究生といったものがある。例えば、SKE48やNMB48はAKB48の姉妹グループ。AKB48の選抜として活動することもあるが、基本的に昇格といった考え方はなく、それぞれが独立したグループとして活動している。指原莉乃がプロデュースする=LOVEの姉妹グループ・≠MEも同様。アップアップガールズ(2)はアップアップガールズ(仮)の妹分であり、2期メンバーという複雑な立場だ。そもそもアップアップガールズ(仮)が、ハロプロエッグの研修過程を修了し、さらなるステップアップのために結成されたグループということで、幾重にも層を成しているようにも捉えられる。

 そんな中、注目したいのが2015年に『TOKYO IDOL FESTIVAL 2015』でお披露目となった桜エビ~ず。私立恵比寿中学の研究生的存在のグループで、オープニングアクトとして出演したり、カバーを披露することも多かった。しかし、最近では12カ月連続新曲リリースやワンマンライブも精力的に行っており、独自のカラーを取り入れている印象を受ける。ほかにもハロプロ研修生という巨大な母体からは定期的に新グループが誕生しており、今年8月にはBEYOOOOONDSのメジャーデビューも決定している。寸劇を大胆に取り入れた「眼鏡の男の子」は衝撃的だ。

 このように活動形式は異なれど、今も多くのアイドルグループが日の目を見ようと日々活動している。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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