アニメ×音楽のCMはなぜ印象に残る? 花王、ロッテ、日清ら大手企業の事例から考察

アニメ×音楽CMはなぜ求められる? 

大成建設CM:「シンガポール」篇

 『君の名は。』の新海誠が監督を務める大成建設のCMシリーズも、毎回目を引く作品が多い。このシリーズは建設現場で働く主人公の歩みを描いたアニメーション作品で、昨年5月より放送がスタートした「シンガポール」編のCMソングはスキマスイッチの「ミスターカイト」が起用。さらに、新海誠×スキマスイッチによる「ミスターカイト」のコラボMVとして、過去に放送されたCMをまとめたスペシャルムービーも公開されている。向かい風と共に高く舞い上がるカイトのように広い世界へ跳んでいくという、スキマスイッチならではの言葉で希望が表現された楽曲と、未来に向かって生き生きと仕事をする人々の風景を切り取った新海誠ワールド全開のアニメーションが合わさることで、このタッグならではの輝きが生まれている。

日清カレーメシCM「こいつらガールズ登場 篇」30秒

 今年3月から放送されている日清カレーメシの新CMには、日清食品「カップヌードル コッテリーナイス」のアウトサイダー広告代理人に就任したマキシマム ザ ホルモンの新曲「ハングリープライド」が使われている。2040年の東京を舞台にした、まるでVRアトラクションのようなスピード感溢れる映像と、ホルモンの楽曲の相性はこれ以上ないほど抜群。また、CM内に登場する個性豊かな7人の美少女は『Re:ゼロから始める異世界生活』で知られるイラストレーター・大塚真一郎がデザインし、声優・加藤英美里が1人で7役を演じ分けている。公式サイトにはキャラクターの詳しい設定や相関図が紹介されており、今後も第二弾、三弾とシリーズ化していきそうだ。

 アニメ映像ならではの表現の自由度やテンポ感、音楽とのマッチングは、実写とはまた異なるダイナミズムを視聴者に与えることができる。強いインパクトや話題性を求められるCMにおいて、今後もアニメCMは重要な役目を果たしていくだろう。

■渡邉満理奈
1991年生まれ。rockin’on.com、Real SoundなどのWEB媒体を中心にコラム/レビュー/ライブレポートを執筆。趣味は読書でビートたけし好き。

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