GOMESSが明かす、『あい』『し』『てる』三部作完結編で挑んだ“ヒップホップ”の再定義

GOMESS挑んだ“ヒップホップ”の再定義

これはヒップホップの棚で死んでいいアルバムじゃないと思う

ーー「障害」のプロデューサーは津田直士さんですが、X JAPANのプロデューサーですよね。これはどういうきっかけなんですか?

GOMESS:もともと共通の知り合いがいたんですけど、急に電話で「津田さんって人がいてGOMESSくんに会いたいと言ってるんだけど」って言われて。トントン拍子で話が進んで、その知り合いの主催イベントで共演することになったんです。当日初対面でセッションしたんですけど、それが本当に良くて。「ああ、この人は歌詞に反応してメロディからリズムから、一緒に会話ができる人なんだ」ってびっくりして、この人のピアノはちょっと特別だなと思いまして。「障害」の原曲はもう4年前に書いた曲で、すごく大切にしてきた曲だったんだけど、津田さんになら託せるだろうと直感で思えたんです。幸せなことですね。

ーー津田さんといい、O.N.Oさんといい、なんでそういう人たちが、GOMESSさんに注目してくると思います?

GOMESS:音楽があったから生きてこれたっていう人、結構いるじゃないですか。その純度が高いからじゃないですか?自分で言うのもなんですが、自分でも驚く時あるんですよ。ライブとかで思いが強く乗りすぎて、泣いたり怒ったり本気になりすぎちゃう瞬間。あの感じが毎回のようにライブで出てきちゃうのは変だなあ怖いなあって思います。プラスして、自分を客観視して評価するなら、音を本当に細かく聴いている。ハットがクローズなのかオープンなのか、どのタイミングで鳴ってるのか。キックがどこで鳴ってるのか。サブベースがどこで鳴ってて、ベースはこううねってるのに対して、キックはどういうリズムなのか。ギターはどうカッティングしてるとか、言い出したらキリないですけど、とにかく細かく聴いてラップしているなあって。楽器として口を一番冷静に操れるし、そこに自分でも自信を持ってる。それと、英語的なニュアンスでのライミングを日本語の語感の上で実現している。そういうところが「他と違うな」みたいなポイントになっていたらいいな(笑)

ーーDYES IWASAKIさんプロデュースの「Poetry」でも、今いなくなってしまった仲間への思いを歌っていて、「Poetry」から最後の「tell」への流れがだんだん穏やかになっいく。その透明度がすごく高いですね。

GOMESS:「Poetry」はね、自分の話をしてるんですよ。死んだ自分のことを歌ってるんです。自分のことをずっと励まそうとしてきた自分に語りかけてるんですよね。

ーーとなると、ラスト2曲って自分のことを自分で歌っている?

GOMESS:そうですね。

ーーでも、自分で自分のことを歌うのって、 J-POPになると、ものすごく押しつけがましいものになりますよね。

GOMESS:そうですね(笑)。

ーー『てる』が押しつけがましくならないのは、GOMESSさんだからなのか、ヒップホップだからなのか、どちらだと思いますか?

GOMESS:本当の意味でのヒップホップだからだと思いますよ。2パックを聴いて、みんな押しつけがましいと思うのかな、って話ですよね。

ーーじゃあ、『てる』ってアルバムで、本来のヒップホップを体現したっていう実感はありますか?

GOMESS:ありますね。これは一個のヒップホップだと思って聴いてほしいし、だからこそヒップホップの棚で死んでいいアルバムじゃないと思う。そのためにも音楽的なジャンルは壊し続けてきた。どこにあってもこれはヒップホップだから「これが手に入れば大丈夫だよ」と思っています。

(取材・文=宗像明将/写真=はぎひさこ)

GOMESS『てる』

■商品情報
5th Album『てる』
4月24日(水)発売(CD/配信)

​01. I am lost
02. 光芒
03. 魔女狩り
04. Insane
05. 夕
06. Candle
07. 蝉
08. 障害
09. ai
10. Poetry
11. tell

公式サイト

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