6th Single『大人サバイバー』インタビュー
ラストアイドル『大人サバイバー』、センター阿部菜々実インタビュー「自分にはアイドルしかない」
ラストアイドルが、4月17日に6thシングル『大人サバイバー』をリリースする。
ラストアイドルが冠番組『ラスアイ、よろしく!』(テレビ朝日系)にて約3カ月に渡り挑戦したのは、約50年もの歴史を誇る“歩く芸術”。名物監督・清原伸彦による厳しい指導のもと猛特訓を重ねた。計5回の合宿練習では、負傷者続出のトラブルが連発。波乱尽くしの中、本番3月23日、24日に川崎市とどろきアリーナで開催されたB.LEAGUEにて、アウェイの空気を見事に跳ね返し、一糸乱れぬパフォーマンスに喝采があがった。
そして、歩く芸術からの流れで初披露されたのが、新曲「大人サバイバー」。振付師・Zoo-Zooが振り付けに取り入れたのは、歩く芸術の演目を踏襲したフォーメーションダンスだ。昨年加わった2期生、2期生アンダーを含めたラストアイドル52人でのパフォーマンスは、歩くことに重きを置き、視覚的効果を意識した幾何学的な振付となっている。今の彼女たちにしか表現できない楽曲であり、前に進むことを提示することで、「ラスアイ、新時代」を思わせる。
今回リアルサウンドでは、「大人サバイバー」のセンターを務めるLaLuce・阿部菜々実に単独インタビュー。本番翌日ということもあり、歩く芸術の感動、「大人サバイバー」への熱い思いを真空パックしたような取材となった。さらに、清原監督とLaLuce・長月翠の「バンドワゴン」を巡る衝突、合宿で縮まった2期生との距離、そして阿部菜々実が目指すアイドルとしての立ち位置についても聞いた。(渡辺彰浩)【インタビュー最後に読者プレゼント情報あり】
最初は嫌だと思っていた“歩く芸術”への挑戦
ーー昨日まで2日間、歩く芸術を披露してまだ興奮が冷めない状態だと思うのですが、今の心境はいかがですか?
阿部:合宿で3カ月間メンバー全員がつらい思いをしてきたので、やっと終わったという達成感があります。でも、終わった後にもう一回歩く芸術がやりたくなっちゃって、寂しい気持ちもあります……。また披露したいですね。
ーー合宿が始まった際は歩く芸術に対してどのような印象でしたか?
阿部:歩く芸術をやることは、デビュー1周年コンサート(12月19日開催)のリハーサルの前に発表されました。「ラストアイドルの武器を一個作りたい」というお話があって。私たちの武器はバトルだとずっと思っていたので、お話を聞いた時はなぜ歩く芸術をやらなければならないのかわからなかったんです。それにVTRを観させていただいたんですけど、本当に清原監督が厳しくて、怖くて。最初は嫌だと思ってました。
ーーその嫌だという思いは合宿のどのタイミングで変わっていきましたか?
阿部:絶対に成功させないといけないし、嫌々やっていても前に進んで行かないから、気持ちを切り替えて頑張ろうと思った時に、本番が近づいたタイミングでほかのメンバーにもそういう気持ちの変化があって。合宿を重ねる度にみんながまとまっていきました。徐々にっていう感じなので、切り替わったというわけではなかった気がします。
ーーオンエアでは、合宿途中のメンバーの負傷など様々なドラマがありました。
阿部:練習で筋肉痛も酷いし、次の日がライブだったりして、過酷なスケジュールでした。全員がつらかったし、一回はやめたいなって思ったはずです。2期生の橋本桃呼ちゃんは、残念ながら負傷で本番は太鼓隊になってしまって。いつも弱音は吐かないで頑張っている子だけど、つらいのが顔に出ちゃっていて。本当に大変だったんだなって感じました。
ーー本番はB.LEAGUEの会場での披露ということで、言わばアウェイでのパフォーマンスでした。そんな場で確実に空気感が変わった瞬間が歩く芸術にはありましたよね。
阿部:本番を迎える前にB.LEAGUEを観に行かせていただく機会があったんですけど、その時の会場の盛り上がりがすごくて。ハーフタイムに席を立ってお手洗いに行かれるお客さんも多くて、「大丈夫かな? 観てもらえるのかな?」という不安もありました。それに、演技の途中ではメンバー同士小さい声で合図を出し合っているんですけど、自分たちの演技に集中してもらえないと、お客さんの声で合図が聞こえなくなって失敗してしまう恐れもあったんです。でも、本番はみなさんが集中して観てくださって、空気が変わったのを自分でも感じました。
ーーその一変した空気は歓声や拍手を生んでいきました。大きな盛り上がりとなったのが、クロス歩行(2つの隊列が早歩きのまま交差し、その後、後ろ歩きで再び交差をする)でした。
阿部:本番直前の合宿ではクロス歩行だけを50回練習したりしていたんですけど、それでも次の日になったらダメになったり。集中していないと絶対に成功できないんです。本番でも一番不安な演目だったんですけど、成功した時にお客さんから歓声があがったのはとても感動しました。指導員の方の前では成功するのが当たり前で、できない時に注意されることがほとんどだったんですけど、お客さんに喜んでもらえると気分も乗りますし、本当にやってきてよかったと感じました。
ーー自分も観ていてなかなか味わうことのない大きな感動をもらいました。もちろん、演じているメンバーの皆さんも感動を覚えたと思います。
阿部:ここまで一生懸命にやってきて、本番成功しなかったらどうしようとか、本番が終わっても気持ちが晴れなかったらどうしようという思いはあったんですけど、本番を終えて裏に戻った時に、「よかった」ってみんな泣いていて。指導員の方たちも泣いて喜んでくださったので、仲間っていいなと思いましたし、本当に感動しましたね。清原監督からも「私が教えたことを全部やってくれた」って言っていただけて嬉しかったです。
「大人サバイバー」のダンスから得た自信
ーーオンエアでは伝わらない緊張や感動があの会場にはありましたよね。歩く芸術の後に続けて披露されたのが新曲の「大人サバイバー」でした。
阿部:「大人サバイバー」は、合宿期間の私たちの思いや心情が全部詰まっている、今の52人じゃないと歌えない曲です。人生の中ではいろんな壁にぶち当たるし、不満とかいろいろ思うことはあるけど、それをクリアしながら前に進んで行かなきゃいけないというメッセージを歌詞からは感じました。
ーーこの曲は歩く芸術の演目を踏襲した振り付けが特徴的です。振り入れも相当大変だったんじゃないですか?
阿部:まずは2日間で振り入れをして、そこからまた2日間で揃うまでに完成させていきました。52人もいると、普段活動しているLaLuceの5人で揃えるのとは全く別物で。歩く芸術と同じで今回の振り付けも縦や横を合わせないといけないし、フォーメーションの入れ替わりが激しい曲なので、全員で揃えるのは本当に大変でした。このダンスをほかのグループが真似しようと思っても簡単にできることではないと思います。それが私たちにとっても大きな自信になりました。
ーー隊列を成すところや円を描く部分は歩く芸術を意識した振り付けですよね。
阿部:そうですね。でも、歩く芸術で歩きながら三角形や円を作るよりも、音楽に合わせて振り付けをしながらの方が私的には簡単に思えるんですよ。これまでずっと歌って踊るということをやってきているので、同じような動きでも音楽があると安心します。
ーー阿部さんは「大人サバイバー」で52人のセンターに立っています。
阿部:5人のセンター(LaLuce)や22人のセンター(ラストアイドル1期生)も大事ですけど、52人に人数が増えたことでますます責任を感じて。振り入れの練習の時に、鏡でフォーメーションを見た時に自分が先頭にいることが重大なことだと思ったし、みんなのことを引っ張っていかないといけないなと改めて思いました。
ーー衣装のコンセプトは聞いていますか?
阿部:歩く芸術は方向転換が激しいので、違う角度から見た時に衣装の色がパッと変わったり、整列した時に真ん中の線が揃っていると綺麗なので、今回のようなパフォーマンスが映える衣装にしてくださいました。半分スカートで半分ズボンというのも今までになく斬新ですよね。
ーーMVでは笑顔がない状態で踊るメンバーの皆さんが印象的でした。
阿部:MVにも私たちの歩く芸術に対する気持ちの変化が表れています。最初は大人に動かされている……ロボットのように動いているんですけど、最後に踊り出す部分ではみんな感情を出してパフォーマンスしています。今までラストアイドルは無表情で歌ったり踊ったりすることがなかったので、撮影も新鮮でしたね。