MIYAVIやTKらのサポートドラマー boboが語る、スタイルの確立と大きな転換期

boboが語る、スタイルの確立と大きな転換期

「どうしても隠せない個性みたいなものが“自分らしさ”」

bobo

ーーそんな中、54-71が実質的な活動休止状態になっていく一方で、サポートとしての活動に魅力を見出していったわけですか?

bobo:54-71は解散したわけではなかったので、当時また新しいバンドを組んで始める気は一切なかったんですよね。それとは別に、同じメンバーとずっと一緒にやってた分、いろんな人とやるのが新鮮だったし、楽しくなってきたんです。

ーー関わるアーティストによって求められることは様々だと思うのですが、boboさんがサポートをする上での基本姿勢として大事にしているのはどんなことですか?

bobo:僕の基本姿勢は「望まれたことを全部やる」って感じですね。僕がこうしたいああしたいという前に、望まれたことに対して最大限応えて、喜んでもらうっていう、それだけです。音楽性にしても人間性にしても、出そうとして出すもんじゃなくて、出ちゃうものだと思うんですよ。よく「個性が大事」みたいなことって、音楽に限らず、SNSとか見てるといっぱい出てきますけど、「“自分らしさを探す”って何やねん?」って思うんです。求められたことに対して最大限応えて、それでも滲み出ちゃう、どうしても隠せない個性みたいな、それが“自分らしさ”ってことなのかなって。

ーーなるほど。

bobo:昔は「合う/合わない」とかってないと思ってたんですよ。「頑張ればどうにかなる」って。ただ、54-71とくるりをやって、「合う/合わない」しかなかった。でも、それって軽はずみに言っちゃいけなくて、音楽と正面から向き合って、初めて言えることなんです。望まれたことを最大限やってるのに出てしまう、隠しきれない自分の持ってるものに「合う/合わない」はあるけど、うわべの「合う/合わない」は絶対言っちゃいけない。「それは俺のスタイルじゃない」みたいな、そんな浅い話ではなくて、求められたものに対して200パーセント応えるっていう大前提があって、初めて「合う/合わない」が出てくる。それは54-71とくるりという2つのバンドを通じて学んだことですね。

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ーー近年では、MIYAVIさんとTK from 凛として時雨さんの作品やライブには欠かさず参加していますよね。

bobo:MIYAVIもTKも……頭ぶっ飛んでる。めちゃくちゃ頭ぶっ飛んでるやつに捕まる率が高いんでしょうね(笑)。川口くんにしろ、繁にしろ、それぞれ追い求めてるベクトルは違いますけど、全員ネジ飛んでますよ。

ーーでも、54-71やくるりを通じて、ドラムを叩くことの意味や必然性を考え続けたからこそ、自分の音を強烈に突き詰めているアーティストたちから声がかかるのかなって。

bobo:ネジ飛び耐性がついてるんでしょう(笑)。MIYAVIなんて、今でこそコーラスとかDJとかも入ってますけど、最初の頃はホント2人だけでしたからね。でも、MIYAVIと僕はベクトルが逆に向いてるんで、それがよかったんだと思います。もし僕がスティック回したり、立ち上がったり、派手な格好するタイプだったら、絶対ダメだったと思うし、人間性的に真逆だったからスポッとハマったんでしょうね。僕は自分自身が客を煽ったりするのがホント嫌なんですよ。「俺はここにいるよ!」みたいなのって、苦手意識どころの騒ぎじゃない。注目されるのはとても好きなんです。でも、自分からっていうのは……そこは54-71で染みついたものなんでしょうね。

ーーあくまで音のみで勝負するというか。

bobo:「語ってんなよ」っていうのはずっと思ってて、54-71のときも、「この曲はこういう曲で」とか、そういうのは一切やめようって言ってました。「説明しなきゃ伝わらねえことやってるのか?」っていう。聴いてくれた人が感じたものが答えであって、「この音で何を表現してる」って口にすることのダサさ、浅はかさ、薄っぺらさといったらないなって。何かを思って作ること自体は大いに結構なんです。ヴィヴァルディの「春」にしろ、ベートーヴェンの「運命」にしろ、自分の中で死ぬほど想いを膨らませて、そうやって曲を作ることを否定するつもりは一切ないです。ただ、それを説明するのは違う。本当に思って作れば、そこに説得力が出るんであって、迷いなく、「これしかない」ってものを出せば、そこに込められた意志に人は感動するはずですからね。

ーーTKさんの表現もまさにそうだというか、音で語っている人だと思います。

bobo:TKはいつも「馬鹿じゃないの?」って思うくらいのデモ音源を作ってくるんです。この間「どうやってんの?」って聞いたら、「一つひとつ打ってる。すぐできるよ」って言ってたけど、どんだけ時間割いてたんだって。TKが「こんな曲作った」って俺たちに渡してる形を、一回世の中に聴かせたいですよ。実際スタジオに入ってからは、できないことは省きますから(笑)。でも、TKが実際の僕のドラムを聴くことで新たにいろいろ浮かぶらしくて、そこでやりとりがあって、また積み重ねていくんです。そこは信頼してもらっているので、とても楽しくやらせてもらってますね。

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ーー他に最近のサポート仕事の中で印象的だったことを挙げてもらえますか?

bobo:最近、世武(裕子)とも絡んでて、あいつもめちゃくちゃ頭ぶっ飛んでますね。今度パリコレに世武と一緒に行くんですよ(取材当時2月18日)。ISSEY MIYAKEのショーで生演奏するんです。半分パッド、半分生ドラムの予定なんですけど、個人的な今年のテーマが「電子に触ろう」なんですよ。昔買ったLogic(Pro X)を引っ張り出して、今年一からやってるんですけど、さっぱりわかんない。でも、みんな優しくて、現場でよく教えてもらってるので、だてにいろんな場所に行ってないなって(笑)。だから今、また大きな転換期に差し掛かってる気がするんですよね。まず54-71があって、くるりを始めて、そこからMIYAVIやTKが始まった2~3年があって、また今そういう時期なのかなって。

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