YURiKAが〈Key〉への想いを歌に込めた日 “鍵っ子”たちも涙したカバーライブを振り返る
その後のMCでは『Summer Pockets』の聖地巡礼をしたという話になり、作品の舞台とされる瀬戸内海に浮かぶ直島、男木島、女木島に母親と行ったという話題に。現地では「鍵っ子」っぽい人とすれ違ったり、灯台にある交流ノートに自ら「『夜奏花』をお願いします」と書いたりして聖地巡礼を堪能したのだそうだ。そんな話をしていると、バンドメンバーがたい焼きを持ってステージに戻ってきた。たい焼き……それは『Kanon』の月宮あゆの大好物。ライブ中に食べるわけにはいかずとも、しっかりテーブルに飾られていた。
次の曲は『Summer Pocketsキャラクターソング『Sing!』』に収録された曲「サマーテイル」だ。これはオリジナルもYURiKAの歌唱で、今回のライブでは数少ないアップテンポでキュートな曲。今まで静かに聴き入っていた観客もこの曲ではクラップで盛り上がっていた。そして続いてはこの日の限定曲で、「この作品がなければ我々はKeyとは出会えなかった」というKeyのデビュー作『Kanon』より「Last Regrets」をエモーショナルに歌い上げた。先ほどのたい焼きのくだりが伏線になっていたわけだ。そこから『Angel Beats!』の「一番の宝物〜Yui final Ver.〜」へとつないでいく。
ここで観客とのトークの時間になり、「どの作品のどのシーンがお気に入りか」を挙手した人に語ってもらうコーナーが行われた。こんなディスカッションが行われるライブもなかなか珍しい。「『智代アフター』のエンディングが好き」というお客さんに、YURiKAと観客たちがそろって共感。Liaのライブに行き、『智代アフター』のED曲「Life is like a Melody」を聴いて大号泣したというエピソードを語った。「『Angel Beats!』では『Rain Song』(Girls Dead Monster)が一番好きなんだ」とYURiKAがいうと、すかさず「それ!」という賛同の声が上がるなど「わかり手」しかいない現場にトークは盛り上がったのだった。
ここからはラストスパートで「小さなてのひら」、YURiKAがKey作品を知るきっかけとなった思い出の曲「時を刻む唄」と『CLANNAD』の曲が続く。そしてライブ本編の最後はYURiKAにとって「命のような曲」という『Summer Pockets』の挿入歌「夜奏花」を歌った。アンコールではアニメ『CLANNAD』のED曲「だんご大家族」を観客全員と合唱。Keyへの愛にあふれた温かい雰囲気でライブを締めくくった。Keyの楽曲は難易度が高いことで知られているが、「青空」のような泣き曲からキャラクターソングまでさまざまな曲を歌いこなしたのは、YURiKAの技量だけでなくKeyへの愛があればこそだろう。
「今日はKeyが大好きだからゆえにプレッシャーを感じてました。これからも愛をもって好きなものを『大好き』と言っていきたいと思います」と言ってステージを後にしたYURiKA。6月29日に兵庫・伊丹アイフォニックホールメインホールで行われる『鍵の思い出音楽会』という演奏会(入場無料)ではゲスト司会を務めるとのこと。これからもYURiKAとKey作品との関わりは続いていきそうだ。
(取材・文=金子光晴)
■セットリスト
01.願いが叶う場所
02.Light colors
03.My Soul,Your Beats!
04.Word of Dawn
05.灼け落ちない翼
06.鳥の詩
07.青空
08.夏影
09.紬の夏休み
10.サマーテイル
11.Last regrets
12.一番の宝物〜Yui final ver.〜
13.小さなてのひら
14.時を刻む唄
15.夜奏花
アンコール
01.だんご大家族