1stシングル『I'm a Pop』インタビュー
ちゃんみなが語る、国籍やカテゴリに縛られない生き方「“機会”を奪うようなことはして欲しくない」
ちゃんみなが、2月27日に1stシングル『I'm a Pop』をリリースする。表題曲は"ジャンルレス"をテーマに掲げており、MVにも性別、国籍などを問わないダンサーを起用。また、初めて1曲の中で日本語、英語、韓国語の3カ国語を織り交ぜたリリックとなっており、何事もジャンルでカテゴライズすることへの違和感、無理やり枠にはめられることの息苦しさなどがアンチテーゼ的に表現されている。
『BAZOOKA!!!高校生RAP選手権』(2016年)に出場して注目を集めてから約3年、ちゃんみなは昨年20歳を迎えた。本人曰く“第2章のスタート”だという同作には、どんなメッセージが込められているのか。ひとつの節目を迎え、さらなる進化を遂げようとしている彼女の等身大の言葉を聞いた。(編集部)【最後に読者プレゼントあり】
「ジャンルに縛られるのは嫌なんです」
ーー『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』でのパフォーマンス、会場で見ていました。ちゃんみなさんが登場したBUZZ STAGEはRHYMESTERやCreepy Nuts、またはアンジュルムといった非バンド勢も登場しましたが、それでもイベント自体として“ロックバンド”が中心になっているので、ちゃんみなさんのダンサーを伴ってのステージングはやはり“異質”にも感じました。出演してみていかがでしたか?
ちゃんみな:想像してたよりも観に来てくれる人も多かったし、ノリもみんな分かってたんで、ライブ自体がやりにくいことはなかったですね。でも正直、スゴくアウェイだなっていう空気感も感じました。だけど、アウェイの方が燃えるんですよね、私は。以前、アイドルが中心のイベントにも出させていただいたことがあって、それこそ本当にアウェイで、誰も私のこと知らない、みたいな。でもそういう時こそ燃えるし、『RIJF』でも、もう「観て観て!!」って感じで(笑)。
ーーアウェイの方が燃えるのは?
ちゃんみな:負けん気だと思います。私のことを知らない人もまだ多いし、知ってくれてる人でも、「『BAZOOKA!!!高校生RAP選手権』(高ラ選)から出てきた、毒舌のギャルっぽいラッパーでしょ?」っていうイメージで止まってる人も多いと思うんですよね。でも、そういう人がいまの私のパフォーマンスを見て、「ハマりました」とか言ってくれると、やっぱり自分でも勇気がもらえるんですよね。だから、とりあえず聴いてみてよ、っていう気持ちなんだと思いますね。
ーー『高ラ選』にちゃんみなさんが出たのは約3年前になりますが、未だにそのイメージで捉えられたり。
ちゃんみな:それからバラエティ番組に出させてもらったときの、フリースタイルのイメージだったり。全員が自分のヒストリーを丹念に追ってくれるわけじゃないし、一部だけを見て判断する人もいるのはしょうがないとは思うんですけどね。だから常に頑張らないとなとも思います。
ーー今お話されたような“イメージでカテゴライズされること”というテーマは、今回の「I'm a Pop」にも通じますね。
ちゃんみな:ずっと私のメモ帳には、このテーマがあったんですよ。それで、このテーマのようなことに出会ったり、感じた時に、リリックを書き足していってて。それを書き溜めたページがパンパンになってきてて(笑)、それで、そろそろ曲にしたいな、って。
ーーそれは例えばどんな事柄?
ちゃんみな:世の中からヒップホップの子、って思われることが多いんですよね、やっぱり。でも、ヒップホップサイドからは、あの子はヒップホップじゃない、ポップスだって言われたり、『LADY』をリリースしたときは「もうラップ辞めたんですか」とか。もっと言うと、私に韓国の血が入ってるってだけで、K-POPのパクリだ、とか言われたりとか。そういう積み重ねの中で、ラッパーやアーティストってそんなに“縛られる”職業なんだって歯がゆさが強くなっていって。それがこの曲になっていったんです。
ーーその意味では、この曲は“自分は自分というジャンル”という引き算の視座ではなく、“自分は全てのジャンルを横断する”という足し算の視点で描かれていますね。
ちゃんみな:私自身、いろんなジャンルの音楽を聴くんですよ。最近はNICKELBACKにハマっているし、自分の音楽史の中で、めちゃめちゃ尊敬しているのはアヴリル・ラヴィーン。私の「おらー!」みたいな負けん気の部分はロックの影響だと思うし、私の魂はロックだと思ってます(笑)。怖いもの知らずな部分はヒップホップからの影響が大きいし、家族を愛したり、友達を大事にするのは、ポップスからの影響だと思う。だからこそ、どんな音楽でもやりたいし、何かのジャンルに縛られるのは、私は嫌なんですよね。
ーーそういう“カテゴライズしてくること”に対するフラストレーションが、この曲に繋がっていったと。
ちゃんみな:他のアーティストさんもみんな少なからず感じてることだと思いますね。自分の力不足もあるとは思うんですけど、それでも、ある特定の枠に押し込めようとする人にはムカつくし、正直、そういう人には私の音楽は聴かなくていいよ、と思う。最近って、クレームがスゴイじゃないですか。クレームを言う人が増えすぎて、いろんなモノがダメになったり、出来ないことが増えていってると思う。音楽に関しても「このジャンルとは本当は……」とか、「あなたはこのジャンルから出るな」みたいなことが多かったり。内容に関しても「この曲で誰かが傷ついたらどうする」「このMVを真似したらどう責任を取るんだ」……みたいな。それによって音楽の表現が狭められてる部分が大きいと思うんですよね。
ーーいわゆる“~~警察”とか“お気持ち問題”であったりは、SNSでも議論や炎上の種になりがちですね。
ちゃんみな:意見を発信できることはいい部分もあるとは思うんですけど、悪い部分も目立って来てるんじゃないかなって。だから、せめて自分のファンの人には、そういうことをしないで欲しいってよく言っていて。それは私の表現だけじゃなくて、他のアーティストの表現に対しても。誰かが作ったものに対して、それを簡単に否定したり、腐さないで欲しいと思うんですよね。“機会”を奪うようなことはして欲しくないなって。