NMB48「床の間正座娘」の魅力は“原点回帰”だけではない 新章告げるグループの現在表す一曲に
NMB48が、2月20日にリリースする20thシングル表題曲「床の間正座娘」のMVが“NMB48らしさ全開”と話題だ。
単独センター11回、ダブルセンターを含めると計14回、シングル表題曲のセンターポジションを務めてきた山本彩が、昨年11月にNMB48から卒業。かつて2016年、2017年に「いつまで山本彩に頼るのか?」という副題の元、山本彩不在のコンサートが開催されたほどに、山本彩という圧倒的エースからの脱却はグループの課題でもあった。
危機的状況は捉え方次第では、最大のチャンスでもある。20枚目というグループの節目でNMB48が取ったのが“原点回帰”だ。「床の間正座娘」のMV冒頭、障子をバックに進んで行く白間美瑠の姿は、デビュー曲「絶滅黒髪少女」のMVをオマージュしたもの。タイトルバック直後の三つ指を突いての座礼は「絶滅黒髪少女」のMVラストと繋がっており、積まれた座布団にメンバーが座るシングルジャケット、「床の間正座娘」というタイトルすらまでも、見事なまでに「絶滅黒髪少女」を連想させる。
そして、「床の間正座娘」のポイントは決して“原点回帰”のみでは終わらないことだ。この楽曲には2017年12月にリリースされた17枚目シングル曲「ワロタピーポー」の濃すぎるカラーをもオマージュされている。原色を基調とした色とりどりの衣装やセット、〈u! HA!〉という合いの手、振り付けはCRE8BOY、APAZZIによる編曲は速いダンスビートにブラスサウンドと、共通している部分は多い。「ワロタピーポー」は痛烈に社会風刺を歌いながら、Wを模した“ワロタポーズ”がYouTubeやSNSを中心に大きな話題に。MVの再生回数も531万回と近年のMVの中では群を抜いている(2月8日時点)。
「絶滅黒髪少女」リリース時に在籍しており、「ワロタピーポー」で初の単独センターを務めていたのが白間美瑠。10枚目シングル「らしくない」で矢倉楓子(2018年4月に卒業)と共にダブルセンターに抜擢され、20枚目という節目で再びの単独センターに。例えば、AKB48にとっての小栗有以やSKE48の小畑優奈のように、センターポジションに次の世代のメンバーを据える選択もきっとあっただろう。しかし、あえてそうしなかったのは、実質のグループトップである白間を先頭に、NMB48が新たに歩き出すところを示すため。もちろん、彼女が1期生でありながら21歳という若さにあることも一つのポイントだろう。NMB48の代表曲と言えば、「僕らのユリイカ」「ナギイチ」といった爽やかな夏曲、「北川謙二」「ワロタピーポー」のようなポップなナンバー、「カモネギックス」「Must be now」などのダンスナンバーがあるが、「床の間正座娘」はNMB48の新章を告げる現在のグループを表す名刺代わりの1曲と言える。
センター以外のポジションにも触れていきたい。裏センターとも言われる白間の後ろのポジションを担うのは、吉田朱里。中でもファンの胸を熱くさせるのは、大サビ前の白間と吉田が背中を預けあう場面だろう。山本彩が卒業し、残る1期生は川上礼奈を入れて3人。この原点回帰のタイミングで、白間と吉田のツーショットをまざまざと見せつけられると、白間センターという一択だったのだと思い知らされる。また、白間の両脇ポジションを担うのは太田夢莉、村瀬紗英。太田は、前作「僕だって泣いちゃうよ」に続くフロントポジションだが、村瀬にとってはジャンプアップの立ち位置。MV公開に合わせ、本人もTwitterで喜びを滲ませていた。