BLACKPINK、少女時代……K-POPガールズグループにおける“ソロ活動”の意味
さてここで注意したいのが、今まで紹介したのはすでにスターダムにのし上がっており、なおかつトップランクの芸能会社に所属しているグループに限っての話だ。BLACKPINKや少女時代のクラスに届かないガールズグループの大半は、「そろそろ飽きられてきたから個別の活動にシフトしようか」と瞬時の判断で進めている場合が多いのではないだろうか。マーケットが小さく、投資できる額も限られている中小の芸能会社では、長期的な視野で育てられるケースはレア。その場でひらめいたことをどんどん実行するケースが増えていくのは当然である。
しかしながら、近年の厳しい状況下においてどう進むべきか、知恵をしぼって逆転の発想で生きのびようとするグループもいる。2018年8月に正式デビューしたLOOΠΔ(今月の少女)は、まずメンバーとなる女性たちを毎月ソロデビューさせて、12人そろった時点でグループとして出発、という風変わりな手法を選んだ。完全体となるまでに約1年半かかってしまった(当初のコンセプト通りに毎月デビューさせなかったところが韓国らしいとも言える)が、各メンバーのファンを事前に獲得できたおかげで、LOOΠΔの1stコンサートのチケットはすぐにソールドアウトになったという。
長い目で見ることは難しくても、トレンドを自分なりに分析して、売れると思ったことは迷わずやる。当然おかしなものも相当数出てくるが、だからこそ楽しかったり、予想外のムーブメントが起きたりもする。韓国のガールズグループの本体および周辺の活動を追い続けていると、K-POPの面白さは結局そこに尽きるのではないか、という思いが強まってくるのだ。
■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。