「Road to Union」はJBアナザーズの歩みそのものだーーデビューシングル収録曲のサウンドを分析

JBアナザーズ、デビューSGの魅力

 数々の人気モデル/俳優を輩出する『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』から生まれた初の音楽ユニット・JUNON SUPERBOY ANOTHERS(ジュノン・スーパーボーイ・アナザーズ/以下JBアナザーズ)。彼らの正式なデビューシングル『Road to Union』が7月31日にリリースされ、オリコンデイリーチャートの2位を記録するなど話題を呼んでいる(参考:2018年7月30日付デイリーシングルランキング・ORICON NEWS)。

 このJBアナザーズは、『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』でトップ100に入りつつも入賞を逃したメンバーの中から選抜され結成された音楽ユニット。年長組のTEAM SENIORITY(チームシニア)と年少組のTEAM YOUTH(チームユース)に分かれ、3年弱もの間、勝者に約束されるCDデビューを目指して様々な対決を繰り広げてきた。現在は2期生/3期生にあたるTEAM CADET(チームカデット)、MIDWEST(ミッドウェスト)も誕生。そしてつい先日、チームシニアとチームユースの最終決戦が行なわれ、同時デビューすることが決定した。一度は夢破れたオーディション参加者が、ファンの応援によってチャンスを掴み、アーティストとしてデビューを果たすーー。そんなドラマ性も相まって、女性を中心にファンが急増中だ。今回は音楽面から、このグループの魅力を紐解いてみたい。

 今回の『Road to Union』には2曲が収録されているが、まずタイトル曲「Road to Union」を聴いて感じるのは、ボーイズグループのど真ん中を突き進むような圧倒的な“王道感”。Shota Kataokaが手掛けた楽曲は、新たな幕開けとなるグループの今を表現するように壮大なオーケストレーションで冒頭が彩られ、以降もエレクトロと生音とを融合させたモダンなダンスポップサウンドが広がっていく。そこに乗るメンバーの歌声も爽やかな魅力に満ち溢れていて、まさに“正統派”と言えそうな、高いアイドル性が感じられるのが特徴的だ。

 と同時に、サウンドを丁寧に聴いていくと、楽曲のアクセントとして随所にエッジの効いたギターノイズや硬質のビート、昨今のK-POPなどにも頻繁に取り入れられているフューチャーベース的な要素などが挿入されていて、細部まで作り込まれていることが伝わってくる。また、ユニゾン+コーラスで歌われるボーカルパートも、大所帯グループならではの雰囲気が生かされたものになっている。“王道感”と“実験性”のバランスが、いい按配で形になったサウンドという印象だ。

 とはいえ、「Road to Union」の最大のポイントは、JBアナザーズの過去に思いを馳せずにはいられない歌詞の魅力。中でも印象的なのは、〈不安だった/隠せずにいた日々もある/いくつもの日々を越え/my precious〉と過去を振り返るAメロと、〈明日へ向かえ Time flies/まだ見ぬ景色へと〉と未来が力強く歌われるサビとの鮮やかなコントラスト。正式デビュー前のグループにとって、3年弱という期間は決して短いものではない。だからこそ、この対比の中に彼らの過去の努力や苦労、そして今の充実度が凝縮されているように感じられる。そうした意味でも、「Road to Union」はデビューシングルに相応しい楽曲と言えそうだ。

 一方、カップリング曲は、今年5月に先行デビュー組の楽曲として配信リリースされた「Unnostalsia」。この曲は48グループや嵐などに楽曲提供してきたYASUSHI WATANABEが作曲/編曲、澤田空海理が作詞を担当。壮大なストリングスとドラムンベースを基調にしたトラックに乗せて、「nostalsia(=過去を懐かしむ気持ち)」に否定の接頭語「Un」をつけたタイトル同様、過去を振り返らずにこれからの可能性にかけるグループの決意が表現されている。また、この曲は1サビ、2サビ、3サビでメロディやコーラスのパターンが徐々に変化していくなど、「Road to Union」と比べてより実験性の高い攻めた楽曲展開も特徴的で、現時点でのJBアナザーズの音楽的な振り幅を伝える楽曲と言えるのかもしれない。かねてから評価の高かったJBアナザーズの楽曲群は、ダンス&ボーカルグループの新しいPopsの形を模索していると言えよう。

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