新田目翔、ハヤシケイ、タナカ零、sajou no hana…2018年夏クール注目のアニソン作家4名

 続いて紹介したいのが、この連載でも何度か名前を取り上げているハヤシケイ。彼はもともとKEIという名義でボーカロイドクリエイターとして活動を開始し、自身初の再生回数ミリオンを達成した「Hello, Worker」(2011年)や「ピエロ」(2010年)など、叙情的なギターロックサウンドと人の痛みに寄り添うことのできる歌詞で人気を集めてきました。また、NO LEAF CLOVERというバンドでボーカル/ギターを務めるなど、自身もアーティストとして活動。近年は作家としての仕事も目立ち、アニソン的な観点で言えば、『FAIRY TAIL』のEDテーマに起用されたROOT FIVE「キミノミライ」(作詞/作曲)を皮切りに、TrySail「WANTED GIRL」(作詞/作曲)、『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』よりジュリア(CV:愛美)のエモーショナルな名曲「スタートリップ」(作曲)など、多彩な楽曲を手がけています。

 その勢いは留まることを知らず、今期のアニメでは2作品のテーマ曲に関与。まず、新人シンガーのReoNaが歌う『ハッピーシュガーライフ』のEDテーマ「SWEET HURT」では作詞/作曲を担当し、甘やかなメロディとある種の危うさをも感じさせる強い愛の気持ちを表現した歌詞で、彼女の繊細なアーティスト性を引き出しています。ハヤシは同シングルのカップリング曲「カナリア」も作詞しているほか、ReoNaが神崎エルザ starring ReoNa名義で発表した『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』の劇中歌集『ELZA』でも全曲の作詞を手がけていて、今後も両者のタッグは続くことになりそうです。

神崎エルザ starring ReoNa 「ELZA -全曲試聴MOVIE-」
ClariS『CheerS』

 そして、ClariSによる『はたらく細胞』のEDテーマ「CheerS」では作詞を担当。こちらは〈君らしいペースで歩こうよ〉というフレーズが優しく響く応援ソングで、努力を無理強いしない絶妙な距離感のメッセージ性を含め、ClariSらしさをしっかりと打ち出したものに。KEI名義による数々のボカロ曲で聴かれた、切なさと柔らかさを併せ持ったその作家性は、今後さまざまなアーティストへの歌詞&楽曲提供でも発揮されることでしょう。

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