三代目 J Soul Brothers『FUTURE』、グローバルな音楽性が示すグループの美学

三代目JSB『FUTURE』レビュー

 タイトルトラック「FUTURE」は、ジャスティン・ビーバーやレディ・ガガとの共作でも知られるBloodPop®がプロデュース。歌詞は全て英語で、ボーカルドロップの手法を用いたダンス・チューンとなっている。また、リード曲「RAINBOW」はオランダの2人組Yellow Clawが楽曲提供し、登坂広臣とELLYが7人をテーマに共作詞を手掛けた一曲。一方で、「恋と愛」や「蛍」のようなバラード曲も収録。ヒップホップとR&Bとダンスミュージックのトレンドが渾然一体と混じり合うグローバルなポップミュージックの潮流を踏まえつつ、それをJ-POPとして昇華してきたグループの美学を示すものになっている。

 リーダー小林直己がリドリー・スコット製作総指揮のハリウッド映画『アースクエイク・バード』(公開時期未定)への出演が決まるなど、メンバーそれぞれの「個」の活躍のフィールドが広まりつつある三代目JSB。この先、グループは、それぞれの経験や実績を「持ち寄る場」としての意味合いがより強くなっていくはずだ。

 さらに、BTS(防弾少年団)が米ビルボードのアルバム・チャート1位を記録したことが象徴するように、2018年以降は音楽シーンの力学も一層変わっていくはずだ。アメリカを中心に北米と欧州のアーティストがトレンドを牽引する構図自体は揺るがないだろうが、これまで以上にアジアとアフリカはカルチャーの「辺境」や「周縁」ではなくなっていくはずだ。

 そういう時代環境に、三代目JSBは、LDHはどうアプローチするか。そういう意味を踏まえても、今作がグループにとっての一つのターニングポイントとなっているのは間違いない。先行きがとても興味深い。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば」Twitter

三代目J Soul Brothers『FUTURE』

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