Wanna One、個性豊かなプロデューサーも愛するグループの魅力 『1÷x=1』ユニット曲から考察
韓国Mnetのサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 シーズン2』から生まれた11人組のボーイズグループ、Wanna One(ワナワン)。昨年の8月に『1×1=1(TO BE ONE)』でデビューして以来、合計で4枚のミニアルバム(内1枚はリパッケージ盤)をリリースし、常に音楽チャートを賑わせてきた。
Wanna Oneは6月4日に発売した4枚目のミニアルバム『1÷x=1 (Undivided)』で、今までとはまったく違うアプローチを試みた。それは、4つのユニットに分かれ、それぞれが様々なタイプの韓国のアーティストたちにプロデュースをしてもらう、というものだった。プロデューサーとして参加したアーティストたちは、ボーイズグループ・Block BのZICO、ロックバンドのNELL、女性シンガーソングライターのHeize、人気ヒップホップデュオのDynamic Duoという、韓国では音源チャート常連の兵たちだ。
今回は参加プロデューサーたちを紹介しながら、それぞれの曲、そしてグループの魅力を考察したいと思う。
Kangaroo :Prod. ZICO(Block B)
カン・ダニエル、キム・ジェファン、パク・ウジンの3人のメンバーによるユニット、Triple Positionの「Kangaroo」はBlock BのZICOのプロデュースによるものだ。
Block Bは「Blockbuster(=大旋風を巻き起こすもの) 」をグループ名の由来に持つ、2011年にデビューした7人組のボーイズグループだ。鋭いラップを得意とし、他のK-POPグループにはない個性を売りにしている。彼ら自身が作詞作曲を全てこなす、自己プロデュース型アイドルグループでもある。ZICOはグループ全体を引っ張るリーダーでありプロデューサーでもあるが、ソロ活動ではグループ活動とはまた違った面を見せて、音楽ファンを魅了している。
そのZICOがプロデュースした 「Kangaroo」は、ミニマムなサウンドでトロピカルな雰囲気のヒップホップ曲だ。可愛らしい振付け(今流行のシュートダンスも少し取り入れている)のパフォーマンスが印象的で、衣装も今までのWanna Oneにはなかったようなカジュアルなヒップホップスタイルになっている。ゆるっとした空気感が心地良い、これからの季節に聞きたい曲だ。
永遠+1(영원+1): Prod. NELL
Lean On Me (ファン・ミンヒョン、ユン・ジソン、ハ・ソンウン)の「永遠+1 」のプロデュースを手掛けたNELLは、4人組のロックバンド。1999年に結成、2001年にデビューしており、来年には結成20年という長いキャリアを持つ。2008年にリリースされた「記憶を歩く時間(기억을 걷는 시간)」がヒットし、インディーズ出身のバンドが地上波の音楽番組で1位を獲得するという快挙を成し遂げた。
オルタナティブなサウンドに、独特な世界観の歌詞を乗せたNELLには根強いファンが付いているが、最近では、Coldplayのクリス・マーティンが来韓した際に、「ありがとう韓国。大好きな韓国バンドNELL」とTwitterでつぶやき、NELLの楽曲をリンクしたことで世界的に有名になった。
「永遠+1 」は、NELLの世界観がそのまま色濃く出ている。ゆったりしたアコースティックギターのリズムにピアノとエレクトリックギターの音が重なり合う、バンドならではのサウンドに仕上がった。アイドルとインディーズ出身のバンドというコラボはなかなか面白い出会いになったのではないだろうか。
砂時計(모래시계):Prod. Heize
The Heal(オン・ソンウ、イ・デフィ)の「砂時計」を手掛けたHeizeは、囁くような優しいボーカルとラップが特徴の女性シンガーソングライター。2015年にMnetで放映された女性ラッパーによるサバイバル番組『UNPRETTY RAP STAR2』に出演をきっかけにその名が知られることになった。その後、EXOのCHEN(チェン)や、Highlightのヨン・ジュンヒョンなどのK-POPアイドルとのコラボ曲をリリースするなど、様々な活動を行っている。
今年3月にリリースしたミニアルバム『風(Wind)』の収録曲、Dynamic DuoのGAEKOをフィーチャリングした「Jenga」は、現時点でも韓国の音楽ストリーミングサービス・MelOnのリアルタイムチャートの100位以内にランクイン。息の長いヒットになっており、韓国では“音源クイーン”として名を馳せている。
彼女の作る曲は、切なくメロウなメロディが特徴的で、一聴してすぐにわかるような“Heize節”があるように思う。「砂時計」においても、ピアノのソロから始まるしっとりしたメロディの中に彼女の感性を隅々に感じられる。