SHINeeは“大切なもの”と一緒に歩み続ける デビュー10周年記念アルバムから伝わるメッセージ
「SHINee is BACK!」
SHINeeが沈黙を破って音楽の世界へ戻ってきた。
昨年、12月に起きた悲しい出来事はまだまだ記憶に新しい。大事なメンバーであり、かけがえのない家族であったジョンヒョンを失った彼らが、音楽の世界に戻ってくるのか、今後どうしていくのかは、多くの音楽ファンが注目をしていたことだろう。SHINeeは、このまま消えていってしまうにはあまりにも惜しい存在だったからだ。
しかし、SHINeeは新しいアルバム『The Story Of Light』とともに戻ってきた。
3つのアルバムとタイトル曲で異例のカムバック
常に革新的なコンセプトと音楽でK-POP界のトレンドリーダーとなってきたSHINeeは、今年デビュー10周年を迎えた。10年という長い月日が経過しても、デビュー当時からの「コンテンポラリーバンド」というコンセプトは変わらず、常に新しい音楽とパフォーマンスを提供してきた。
今回のカムバックでは、「The Story Of Light Ep.1〜Ep.3」 という3枚のミニアルバムと同時に、それぞれ3曲のタイトル曲を2週ごと(5月28日、6月11日、6月25日)にリリースし、音楽活動をするというのだ。通常は1枚のミニアルバム(またはフルアルバム)と1曲のタイトル曲で約1カ月間ほど活動していくが、今回は1.5倍の時間をかけて活動を行うという。ここにもSHINeeらしいチャレンジを感じる。
5月28日に最初にリリースされた『The Story Of Light Ep.1』のタイトル曲「Good Evening」(オリジナルタイトル「데리러 가(迎えにいく)」)は、90年代のクラッシックR&Bの要素を取り入れたエレクトロポップだ。
2015年に発表した「View」のようなディープハウスのサウンドも感じられ、オーガニックなリズムが心地よい1曲になっている。世界的なプロデュースチームThe Fliptonesが作曲と編曲に参加し、サビの<데리러 가(デリロガ)>が耳に残る、どこを取ってもSHINeeらしい新しい音楽性とカラーを作り出している。
ヘビ、キツネ、砂漠、井戸……テーマは『星の王子さま』?
今回のアルバムのモチーフは サン=テグジュペリの『星の王子さま』だといわれている。実際にメンバーが言及したわけではないので、あくまでファンたちが憶測をしているだけにすぎないが、歌詞やMV、コンセプトフォトの中には『星の王子さま』を連想させるアイテムが散りばめられている。
たとえば、英語タイトルである「Good Evening(こんばんは)」というフレーズは、地球に降り立った王子さまが出会うヘビと交わした言葉だ。コンセプトフォトやMVに出てくる砂漠や井戸も『星の王子さま』に出てくるシチュエーションだ。
ジャケットワークからMVまで、アルバム全体を通して出てくるキツネも物語に登場する。王子さまのかけがえのない友達となるキツネは、様々な事を伝える重要な存在になっている。SHINeeは 「Good Evening」 MVの中でキツネに出会い、そしてEp.2の「I Want You」ではキツネを追いかけて森をさまよう姿が描かれている。このキツネはEp.1からEp.3まで通して重要な意味を持つようだ。果たしてキツネが意味するものとは何なのだろうか? それは最後まで見ないとわからないだろう。
そして、この『星の王子さま』は、ジョンヒョンの愛読書だったことも有名だ。SHINeeにとってもファンにとっても大切な本であり、このカムバックで作品のなかに取り入れたことには、深い意味を感じる。