安室奈美恵は“時代を映すアイコン”だった ブランドミューズ務めた90年代以降のメイク広告を追う

安室奈美恵『Finally』

 ライブ活動を中心とした近年では、そうした音楽外の活動から距離をおいているようにも感じられる。しかし、たとえば昨年末に『NHK紅白歌合戦』に14年ぶりに出演した際には、そのメイクやファッションも注目を浴び、特にSNS上では多くの反響があった。また、今年4月には、ファストファッションの火付け役であるH&Mとコラボし、「Namie Amuro × H&M」のアンバサダーを務めるというトピックも。発売日には、全国各地の店舗の前に大行列ができ、売り切れ商品も続出したという。安室奈美恵のディスコグラフィーを遡ると、そのジャケット写真にはほぼすべて自身の写真が使用されている。KOSEプロジェクトの「I am I みんな、あなたになりたかった」というキャッチコピーのとおり、今もなお、安室奈美恵は人々の憧れの存在であり続ける。

 前述したdocomoのCMでは、それぞれの時代の姿をした安室奈美恵が渋谷のスクランブル交差点に立ち、その時代を象徴する携帯端末を手にダンスを踊っている。この25年ほど、安室奈美恵以外にもファッションやメイクを中心としたカルチャーにも影響力を持つアーティストは多く存在した。しかし、デビューから今に至るまで、常に音楽とともにそのビジュアルにおいても注目を浴び、支持され続けたアーティストは、安室奈美恵以外は思い当たらないように思う。安室奈美恵は、音楽だけでなく、さらに広いカルチャーを牽引してきた稀有な存在であり、様々な観点から時代を映すアイコンである。

(文=若田悠希)

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