安室奈美恵は“200万枚を売り上げた最後のアーティスト”となるか? 2017年最終週チャート分析

参考:2018年1月1日付の週間CDアルバムランキング(2017年12月18日~2017年12月24日)

 2018年1月1日付、いよいよ今年最後の週のアルバムチャート。初登場作品はすべて12月20日にリリースされたものです。年末ギリギリに出る作品は、いわゆる「年間ベスト」に選ばれづらい、師走の音楽特番ラッシュのなかで大きな話題になりにくい、などのデメリットがあると言われますが、トップ10の作品はそれぞれ2万〜7万枚と好セールスを記録しています。

 その中で「あれ?」と思った作品がひとつ。同じ12月20日に発売されたDAOKOの2ndアルバム『THANK YOU BLUE』。上位ランクイン間違いなしと思いこんでいたら、13位という結果になりました。

 ここで面白い記事を。YouTube Rewindが先日発表した、今年注目を集めた音楽動画ランキングです。1位はDAOKO×米津玄師の「打上花火」。米津玄師は他2曲もランクインしているので、ネットと米津の相性の良さが証明されたとも言えますが、それでも「打上花火」はDAOKOの歌唱なしには成立しない名曲。今年全体を振り返っても、数少ないヒット曲のひとつと言えるでしょう。

 米津玄師と組んだあと、DAOKOは岡村靖幸と、さらにはBECKともコラボを果たし、ライトユーザーからコアな音楽ファンにまで高く評価されるアーティストに成長していきました。その集大成となるのが今回のアルバム。D.A.N.やO.N.O.(THA BLUE HERB)のトラックを気怠く乗りこなしていく姿は超絶クールだし、かと思えば玉屋2060%(Wienners)や小島英也(ORESAMA)のハッピーなサウンドで可愛い女のコとして振る舞う歌声も蠱惑的。ラッパーとシンガーソングライターの垣根を超え、ポップとアンダーグラウンドの両方から愛される、そんな独特の才能が開花した力作です。

 むろん作品の評価は高く、SNSで絶賛する声も多い。要するに、広く聴かれていることと、CDが購入されたことが、ものすごく乖離しているのだと思い知る結果なのです。いまのオリコンランキングは「どれだけコアファンを抱えているか」の目安なのでしょう。若い世代を中心に「広く聴かれていること」とは別の話です。

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