稲垣吾郎、俳優としての快進撃が始まった 『クソ野郎と美しき世界』や『半世界』で積む“経験値”
稲垣吾郎が、2月21日オフィシャルブログで、新しい地図によるオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』が「いよいよクランクインしました」と報告した。さらに映画『半世界』も、同時進行で撮影しており、いよいよ“俳優”稲垣吾郎の快進撃が始まった。
今回『クソ野郎と美しき世界』で、稲垣は天才ピアニストを演じるという。ブログで、もし生まれ変わるなら、ピアニストになってみたいと話す稲垣。「ピアニストという僕の夢を疑似体験出来る喜び」と語り、そのパラレルワールドを楽しむ様子が伝わってくる。
稲垣の演技は、その世界観に静かに溶け込むのが印象的だ。インターネットテレビ『72時間ホンネテレビ』(AbemaTV)で、監督・三谷幸喜を迎えて生放送エチュード芝居をしたときにも、稲垣は実に自然な演技を見せた。稲垣が稲垣吾郎に扮するのだから、大げさな演技にはならないのは当然のこと。だが、アクションがかかった瞬間、確かに別世界の稲垣吾郎がそこにいる。そんな感覚が確かにあった。
「現場のライブ感が大切だと思います」現場レポート(参照:映画『クソ野郎と美しき世界』公式サイト)で、 稲垣は映画への意気込みとして、こんな言葉を語った。そこに稲垣が魅せる、演技の真髄を感じる。稲垣は、「SMAPの中間管理職 」を自称してきた。それは、単純に年齢が中間だったからではない 。彼には、常に状況を見渡せる冷静さ、周囲の感情を察することの できる感受性の高さ、そして言葉を選ぶことのできる繊細さがあった。求められる役割に徹するという意味では、その時々に最適な“稲垣吾郎”を、演じるように生きていたのだろう。どこかミステリアスな雰囲気を醸し出していたのも、“アイドル稲垣吾郎” という役を徹底していたからかもしれない。
「もしも自分があの鍵盤を自由に操ることが出来たら、そこにはどんな景色が見えてくるのだろう……」フィクションの中での人生を想像して生きる。それが稲垣の演技が周囲に溶け込んで見える理由なのだろう。その想像力の源は、多くの疑似体験。読書バラエティー『ゴロウ・デラックス』(TBS系)でも垣間見えるように、稲垣は多くの物語に目を通してきた。作品に触れた数だけ、稲垣が様々な人生を疑似体験し、様々なキャラクターの視点を意識してきたはずだ。映画『半世界』では、備長炭を製炭し生計を立てる山男を演じるという。煤だらけの中年男性という役柄は、アイドルとして生きてきた稲垣とは真反対ともいえる。稲垣の中で、また新たな疑似体験という“経験値”を積むことになるだろう。