西廣智一が選ぶ、2017年HR/HM/ラウドロックベスト10 暗いニュースの裏にあった傑作たち

 上記5枚以外にも、ヘヴィさの先にある優しさに気づかせてくれたBoris『DEAR』、Convergeの項でも触れたCode Orange『Forever』、マイク・パットン(Faith No Moreなど)の変態ぶりがハードコアサウンドに乗せて遺憾なく発揮されたDead Cross『Dead Cross』、メタルの保守性を踏まえつつも前進することを選んだOUTRAGE『Raging Out』、メロディックデスメタルをスタンダードの域にまで押し上げたArch Enemy『Will To Power』と、どれも特筆すべき傑作ばかり。残念ながら選から漏れたものの、国内外問わず新人としては破格のクオリティだったLOVEBITES『Awakening from Abyss』、とても2017年のバンドとは思えないソウルテイストのハードロックを響かせるGreta Van Fleet『Black Smoke Rising』、ジンジャー・ワイルドハート(The Wildhearts、Hey! Hello!など)の轟音プロジェクトMutation『Mutation III - Dark Black』、武道館ワンマンも納得の力作となったcoldrain『FATELESS』なども愛聴したことも記しておく。

 パッケージ文化が衰退し、配信やストリーミングに移行して楽曲単位での聴かれ方に比重が置かれつつある音楽シーンにおいて、エクストリームミュージック、中でもHR/HMはいまだにパッケージを重視するジャンルだろう。2018年以降、そういった文化がどうなっていくかも含め、このジャンルの「伝統の保守と進化」を静かに見守りたい。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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