“懐かしのゲーム”を題材とする曲とMVが話題に BURNOUT SYNDROMES「ハイスコアガール」徹底分析

BOS「ハイスコアガール」を徹底分析

 熱くストレートでありながらどこか文学的な余韻を持つ歌詞の世界観と、その魅力をダイレクトに伝えるギターサウンドで人気を集める青春文学ロックバンド、BURNOUT SYNDROMES。彼らが配信限定の最新シングル曲「ハイスコアガール」を完成させた。2016年のメジャーデビュー以降、『ハイキュー!!』シリーズのエンディング/オープニング曲を担当するなど、TVアニメとのタイアップも多い彼らだが、この作品は熊谷和海(Gt&Vo)が愛してやまないコミック『ハイスコアガール』へのトリビュートソング。楽曲には作品の世界観に繋がる様々なオマージュが盛り込まれ、同時に彼ららしさ全開の世界観が広がっている。

 『ハイスコアガール』は押切蓮介原作、『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス刊)で連載中の大人気90年代アーケード・ラブコメディ。アーケードゲーム全盛の1991年、小学校の帰り道のゲームセンターにある『ストリートファイターⅡ』の対戦台で因縁の相手として出会った2人の男女――ルックスも勉強もうだつがあがらないが、ゲームの腕前だけが取り柄の主人公・矢口ハルオと、才色兼備でクラスの人気者、さらに名家のお嬢様でありながらその環境に息苦しさを感じて人知れずゲームに没頭するヒロイン・大野晶が、互いの違いを越えて徐々に恋心を育む様子が描かれる。作品には実際のアーケードゲームや様々な「あるある」ネタが登場し、その絶妙なチョイスやリアルな描写が生むゲームマンガとしての面白さと、ラブコメ作品としての完成度の高さによって2012年の「ブロスコミックアワード大賞」や2013年度版「このマンガがすごい! オトコ編2位」にも選出された。

 今回の楽曲「ハイスコアガール」でまず印象的なのは、セーブ機能がなかった『ドラゴンクエストⅠ』『ドラゴンクエストⅡ』で今まで進めてきた場所から再開できるコマンド「ふっかつのじゅもん」や、コナミ製のゲームで入力すると残機が“無限大”になるなどの効果が得られる隠しコマンド「コナミコマンド」などを筆頭に、全編に大量のゲーム用語/ゲーム作品名がちりばめられていること。参考までに、登場するゲーム関連の単語を挙げてみよう。

・<フルコンボ>
・<残機>
・<⇧⇧⇩⇩⇦⇨⇦⇨〇+〇 残機は∞>(コナミコマンド)
・<其れは唯一無二の『ふっかつのじゅもん』 ちたに けらは とほら すての はてき らとな りはし てと>(『ドラゴンクエストⅠ』『ドラゴンクエストⅡ』より)
・<満身創痍で放つ波動拳><起死回生で放つ昇竜拳><『『『『『Here we go!!』』』』』><『『『『『Get Ready Fight!!』』』』』>(『ストリートファイター』シリーズより)
・<Shall we Dance-Dance-Revolution?>(『Dance Dance Revolution』より)
・<インベーダー・ゲーム><ナゴヤ撃ち>(『スペースインベーダー』より)
・<テトリス>(『テトリス』より)

 そう、今回の楽曲には、70年代~90年代に開発されて人気を博した古き良きドット絵のゲームやその裏技へのオマージュが、かなり具体的に盛り込まれている。しかも、それがただ羅列されるだけではなく、楽曲に込められたテーマとリンクして相乗効果を生んでいるのも大きな特徴。特に「コナミコマンド」と「青春」を並べることで青春の無限の可能性を表現するような冒頭のフックは、これまで徹底して青春を歌ってきた3人ならではの表現だ。

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